私立輝月学園
転入 学園 友達
「何……ここ。」
目の前に広がるのは、高すぎる壁……もとい門だ。
金持ち学校とは聞いてたけどここまでとは……。
俺は月城雪(ツキシロユキ)。
今日からここ、私立輝月学園に通う事になってしまった1年生、なんだけど……。
「この門、どうやって入るんだ?飛越えて平気か?」
などと、敷地内に入る前に問題発生。
そもそも、ここに通う事になった理由は昨日にさかのぼり―…‥
…*…*…*…*…
「雪。少し話いいか?」
「何ですか?お祖父様。」
話し掛けてきた渋いオジ様な男の人は、俺の祖父。
実はここ月城家は、1・2を争う程の名家……つまり金持ちって訳だ。
「実はだな、雪。学校に通ってみる気はないか?」
「へ……?」
お祖父様のいきなりの話題に変な声あげちゃったじゃねぇかっ!!
……じゃなくて。
「学校?なぜです?俺はもう、大学レベルまで頭に入っていますが。」
学校に通うのなんてごめんだ。
あんな、あんな思いもうしたくない……。
「雪……。私は親として雪に高校生活を楽しんでもらいたいんだ。一生の中で、信頼できる仲間とわずかな一時を楽しんでもらいたいんだ。分るか?」
分らなくはない。
お祖父様の言っている事。
でも……。
「それでも、やっぱり俺は……。」
「雪、それじゃあ賭をしようか。」
はい?
「賭……ですか?」
俺は特に賭るものなんて何も持ってないぞ?
「今から無事高校卒業できたら、家を継ぐ話はなしにしよう。反対に、卒業出来なかったら、家を継いでもらう。……どうだ?」
確かに俺は家を継ぐなんてのは、嫌だ。
そうまでして、俺を高校に通わせたいお祖父様の意図は不明だけど……。
縛られて過ごすのは嫌いだし。
それに、ピアノをずっと弾き続けたい。
これは、少なからずピアニストだった母さんの影響。
「分りました。高校卒業すればいいんですね?」
「あぁ。楽しんでおいで。」
…*…*…*…*…
‥…―と言う訳で今ここにいるんだけど。
「開く気配もないし、飛越えるか?……って、あれ?」
よく見ると、門の近くの壁にボタンが。
これってインターフォン?
「まぁいいか、この際何でも。」
俺は半ばヤケでボタンを押してみた。
『はい。御用でしょうか。』
ほんとにインターフォンだったよ。
ハハハ……。
「今日転入する月城ですけど。」
『月城雪様ですね。今門を開けますので中にお入りください。』
―ギィィッ
しかも手動じゃないのかよ。
金持ちだな。
って俺も金持ちだけどさ。
取り敢えず、中入るか。
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