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短編
宣戦布告
「さっむいなぁ…。」


そう呟いたのは、俺の幼馴染。
名前は健吾。


「なぁ、央(アキラ)、お前もそう思わねぇ?」


俺の名前を呼んで、俺に同意を求めてくる。
まあ、当たり前っちゃあ当たり前なんだけど…。
だって、冬だし?


『まあ、寒いには寒いけど…。でも健吾、幾らなんでも、そりゃないんじゃない?』


俺がこういうのも無理はないことだと思う。
だって、まずパーカー羽織って、その中にセーターとかとにかく色々着込んでて…。
でぶっちょになってるし。


元が細いから、そんなにデブってわけじゃないけど。


「央、あっためてー。」


にこにこと笑いながら言う健吾。
あっためろって…どうやってだよ。


「ほら、おいでー。』」

両手を広げて今か今かと待ち侘びる。


…正直、俺はホモじゃない。幼馴染とそんな関係になりたいと、思ったことは一度もない。


『健吾…いつも言うけどさ…。俺、ホモじゃないんだ。だから…抱きつくとか…マジ無理。受け付けない。』


俺がそういうと、健吾は決まって悲しそうな顔をする。
「そうか」って言って、しゅんってなる。


俺はノーマルかって聞かれたら、そうでもないし。
どちらかって言うと、バイ。
でも、男とすんのはあまりイイ感じはしない。


だって、穴にアレ突っ込まれるんだぜ?


健吾とは、小学生の時は、キスを毎日のようにしてた。
お互い、好き同士だったし。


でも、中学になってから、健吾は変わった。
家に行ったら、行き成り押し倒して服を脱がせてきた。
結局、嫌だっていったらやめてくれたんだけど。
でも、それ以降、俺は健吾の家に行くのがトラウマだ。もちろん、家に呼ぶのも。

高校になっても、同じ学校で毎日一緒にいるから、だんだんトラウマは無くなってきたと思う。
でも、まだスキンシップは怖い。



その時、健吾は突然俺に謝ってきた。

「あー…央?ほんと、ごめんな。でも俺、央以外、好きになるつもりないから。」


なんて、一途な奴。
こいつを裏切ってるのかなって思うと、胸が痛い。
俺だって、親友でもあり幼馴染の健吾のことが大好きだ。
でも、それは健吾の言うようなものとは違うとわかっている。



『…俺も、堕ちる気はないから。』


そうやって言って、微笑んでやると、「やっぱり好きだっ!」と言って飛びついて来た。


『ちょ…やめろって!』
「人目が気になる?」
『うん、そうだから。』


しがみつく健吾を離そうと、必死に抵抗する。
健吾は何か思いついたのか、攻撃的な笑みを俺に向けてきた。

なんだ?と思っていると、そのまま顔を近づけてきた。

「、央?」
『っ…な、んだよ…///』
「俺は絶対、お前を落とす。」

そう言って笑いかけてくる健吾。
ああそうか、これは宣戦布告。俺も受けて立ってやるよ。今日くらいは。


『俺は絶対落ちないよ…。』



宣戦布告と、甘い口づけを――…。

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あきゅろす。
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