短編
雨の日
今日は生憎の雨。
それも、すっごい風と、雷も近くで鳴ってる。
弟のハヤテは、雷が怖いらしくて、ずっとベットから出てこないんだ。
今日は親が出張で家にいない。
俺とハヤテだけ。
取り敢えず、なんか作ってベットから出させるか。
***
俺はなんでもといったら可笑しいけど、大体のことはできてしまう。
親のやってることを見よう見まねでやったら出来たんだ。
だから、飯を作るのは簡単。
『ふう…。まあ、これでいいか。』
ハヤテの好きなオムライスを作ってやり、二人分持って、ハヤテの居る部屋へ直行した。
『ハヤテ〜。』
両手がふさがってるため、名前を呼ぶだけ。
普段なら、急いで出て来てくれるはず…なんだが…、でて、こない…。
お盆は床に置いて、ドアを開ける。
真っ暗だ…。
またお盆をもって、ハヤテがいるであろうそこに近づいた。
案の定、ハヤテは頭までシーツをかぶり、肩を震わせて泣いていた。
すぐに呼んでくれればいいものを…。
変なところで気を使ってくる。兄弟だからそんなこといいのにな。
『おい、ハヤテ。飯持ってきたぞ。喰え。』
『ん…おにいちゃ…。』
頭だけ出しちゃって可愛いなあ。
部屋の電気を付けて、ハヤテの傍に行く。
『ハヤテ…何でまた俺を呼ばなかった?いつでも呼んでいいって…遠慮なんかすんなって言ってんだろ?』
少しきつく言ってやれば、ハヤテは俺から目をそらして、ぐずりはじめた。
『だって…僕、お兄ちゃんの邪魔…したくないもん…。』
可愛いこと言ってくれるなあ…。
『わかった。じゃあ、飯食おう。お前の好きなオムライスだよ。』
『オムライス!?やったぁ!』
俺の向かいで嬉しそうにオムライスを頬張るハヤテは、まだまだ子供の顔が残る。
中学生なのにな。
***
綺麗に食べてくれたハヤテは、またベットに潜り込んでうとうととしていた。
そこに、また大きな落雷。
そうとう大きかったから、近くなんだろうな。
なんて、ぼんやり考えてると、ベットから泣き声が聞こえてきた。
『ぅ…おにいちゃ…こわぃよぅ……。』
ボロボロ涙をこぼすハヤテ。どうしたらいいのか、俺にはわからなくてあたふたするばかり。
…そうだ…。
俺はぱっと、小さい頃やっていた「おまじない」を思い出した。
高校生にもなって、これはどうかと思うが、まあいい。
『ハヤテ。こっち向いて。』
『ふぇ…おにいちゃん…?』
そっとハヤテの頬に手を添える。
それだけで、ハヤテは何をするかわかったみたいで、目を潤ませていた。
『おまじない…ハヤテ、大丈夫だよ。』
『ん…おにいちゃ…』
ハヤテは目を閉じて、俺の行動を待った。
俺は一瞬躊躇ったが、そのあとはゆっくりと口づけた。
舌はいれずに、触れるだけのキス。
それだけでもウブなハヤテは顔を真っ赤にして、無意識だろうが、下半身を俺の脚に擦りつけてオナニーしてる。
これだけで勃つとか…。やっぱ中学生。
『今日は触ってあげられないよ、ハヤテ。』
『や…どうして…っ!?』
『今日はおまじないだけ。』
『…やだぁ……!』
困った。
いつもはキスしたらその場の雰囲気で最後までヤっちゃうけど、今日は流石にそんな気分じゃない。
ハヤテは何かを呟いていた。
そして、行き成り顔をあげて、涙声で俺に言って来た。
『おにいちゃん…ハヤトおにいちゃん…僕、僕…っ!』
『っ!』
久しぶりにハヤテに名前を呼ばれた。
俺はハヤテに名前を呼ばれるのが弱い。
はぁ…仕方ないな…。
俺はハヤテの正面に座って、囁いた。
『ヤりたかったら、もっと俺をソノ気にさせてみろ。』
ハヤテは顔を真っ赤にして、嬉しそうに微笑んだ。
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