パラレルワールド
6
5分ほど寮の扉前で待っていると、キックスクーターでやってくる男子生徒が一人。
なんとまあ便利なものをお持ちで。
170後半くらいあるだろう身長に、程よい筋肉の付き具合。テニスやってますって感じのさわやか系男子。
かなり急いできたのだろう。額にはうっすらと汗が流れている。
スクーターなのに。
「はぁっ、…っあの、コウナさんですか…?」
少し息を切らしつつ自分を呼ぶ彼がどうやら橘さんの息子さんのようだ。
「あ、うん。君が橘さんの息子さん?」
「はいっ!父がいつもお世話になっています。父の代わりに俺が寮案内することになったので!宜しくお願いします!」
橘さんも爽やか系イケメンだが、どちらかというと最近は少し大人の色気が出てきていたが、彼は若いからかちょっと犬っぽさを感じる可愛げがある。
「ごめんね、昔に1度だけ会ってるんだけど…名前忘れちゃって…」
「え!?そうだったんですか!ごめんなさい、俺のほうこそ全然覚えてなくて…あ、俺は橘 青空(そら)です。あおぞらって書いてそらって読むんです。キラキラネームってよく言われるんですけど…」
「あー…今流行のね。うん、でもすっごい爽やかだしイメージとぴったりだよ。そらくんか〜」
「あの…君つけなくていいっすよ?」
「ん?じゃぁ俺のこともコウナでいいよ。お父さんから聞いてるかもしれないけど、でも今は同世代ってことになってるしさ。」
多分見た目ではそんな感じしないかもしれないが、
青空って弟にしたいタイプだなぁ。
無性に頭を撫でてやりたくなったが、身長差故に手を伸ばさなければ行けないということが少し悔しい。
そんなことを思っていたら青空は突然寮内に入ろうとする足を止める。
「どうした?」
聞くのと同時に腕を引っ張られ寮の外壁に体を沿わせた。
「ちょっとだけ静かに…」
「?」
何が起きたのかと思えば、寮の中から出てきたのは2人の生徒。一人は銀色のアシンメトリーの髪型に耳にはいくつかピアスを空けている。
そしてもう一人はまっすぐの漆黒の長い髪が風にゆれ、ピシッと胸を張って歩く姿は圧巻。
そして二人の胸にはゴールドのラインが入った白いスカーフ。
「…また違う色…」
ふと油断してもれた言葉に慌てて青空が俺の口を塞いだが時すでに遅し。
二人がこちらにチラリと視線を向ける。
「…おや…ゴールドクラスですか。珍しいですね」
「……。」
ゴールドクラスとは何のことか。
口を押さえられたまま眉間に皺を寄せていると二人がこちらに近づいてきた。
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