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パラレルワールド

一通り校内をぐるりと回り、午後2時。
あとは寮だけ、と言われまだあるのかとがっくりと肩を落とす。

「そろそろお腹すいてきただろう。
なんなら学食にでも行ってみるかい?」

「学食!!!いいねぇ!いい響きっ!」

学校でしか食べられない限定感を久しぶりに感じられるのだと思いワクワクして学食へ。
でも忘れていた。
俺の想像する学食って、値段は安くておなかいっぱい食べられるけど、どこか庶民的なおばちゃんの作る味。

でもここは、エリートが集まる学園。
そんなものは出てこないわけで。



「うちの学園ではね、今後社交界に出たとき恥ずかしくないよう、食事のマナーも常に意識できるよう、ちゃんとした料理を専門の料理人に作らせているからね。
きっと美味しいよ。」


「…ラーメンとか…カレーライスとかは…?」

「コウナ君ってかしこまったもの本当に嫌いだよね。」

この学園で大丈夫?と少し心配されてしまった。

いや、こういったものは逆に経験したことないし、新鮮で楽しいかもしれないけど…息詰まりそう。

たまにはコンビニでチキンとか肉まんとかカップ麺とか買いに行こう…。




結局メニューにないオムライスを頼んでお腹を満たし、さて寮見学にでも…と思った所で橘さんの携帯が鳴る。

「ごめん、急に仕事が入っちゃって、申し訳ないんだが付き合えるのはここまでみたいだ。」

「そっか、まぁ仕事なら仕方ないよ」

海外支社でトラブルが起きたとかで、すぐに飛ばなければならないようで、橘さんは自分の代わりに、と息子さんをすぐに来るよう呼んでおくから寮の前で待っていてと言うと急ぎ足で行ってしまった。


「そういえば…橘さんの息子さんって高校生なんだ。」

橘さんは30前半にしか見えない外見だが、実はもう45歳。俺と出会ったのは大体10年前で、確かその頃
小さな男の子連れてたな〜なんて思い返していると
これまた立派な建物が。

「これが学生寮ねー…どこかのリゾートホテルじゃないのかこれは。」

1泊10万とかは普通でしそうだよ。

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あきゅろす。
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