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パラレルワールド

職員室の奥に入ると校長室が見える。
校長室の扉を開けると、40代位の男性と黒のスカーフをつけた男子生徒が話し中のようで。


「おや、校長先生お話中でしたか。」

「理事長!いえいえ、大丈夫ですよ。」

「すみませんね。以前お話した特別編入の生徒を連れてきましたので。ご挨拶にと思いまして。」

男子生徒は特別編入という言葉にぴくりと反応し、こちらを向く。

「…女子?…なわけないですよね」

「あはは…よく言われます。」

セーラー服タイプの制服がより、自分の女顔を強調させるのだろう。

「ゴールドスカーフなんですね」

「えっ?」

ちらりと男子生徒が理事長を見る。
そしてそのまま俺の方に視線を戻すとニコリと微笑み、

「私は風紀委員長の潮と申します。」
どこか気品のある会釈と共に差し出された右手に戸惑いながらも答えた。

「ごめん、俺いいとこ育ちじゃないもんで、あんまり固い挨拶とか苦手なんだよね。」

見た目とのギャップに驚いたのか潮は少し目を見開きぽかんとしている。

「えっと、宜しく!校長先生も宜しくお願いしまーす!っと、橘さん、ほら、早く校内まわりましょ?」

なんだか周りの期待を裏切ってしまった気がして、いつもの事ながら見た目で判断するなんてこれだから男は…なんて思いつつ慌てて校長室を出る。



そんなことをしていたら、すっかりスカーフの色の意味を聞くのを忘れてしまっていたのだった。



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