こねた
花束ドリーム[アスシェリ]
アスシェリ(幼少期)
窓から入る心地好い風にカーテンが踊る。外からは聞こえるのは鳥の声。
もし私が健康な身体で、元気ならアスベル達と遊べるのに…
ベッドに腰かけて想うのはいつも悪戯っぽく笑う幼馴染みの顔。
――どうして自分だけ…
どうして私は生れつき身体が弱くて満足に遊べないの。例え、体調が良く外で遊んでいても突然発作を起こして、アスベルやヒューバートに迷惑をかけてしまう。でも、そんな時アスベルにおんぶしてもらうのは嫌いではなかった。へたっぴなおんぶだけど、小さな背中越しに感じる幼馴染みの温もりが好きだった。
私は家の中に祖父が居ないのを確認すると、ベッドから下りピアノの前に座った。母から教えてもらったあの曲を弾く。自分と同じで、父に対して素直になれなかった母が父を想って弾いた曲。
どれくらい経っただろう、戸が開く音がして振り返ると会いたくて仕方なかった少年が、ぽかんとした顔で立っていた。
夢みたい……私も何度も瞬きをして、自然と幼馴染みの名を呟いた。
「アスベル…?」
「よ、よう…」
「な、なによ!!なにか用!?」
頭をかきながら照れ臭そうに近付いてきた幼馴染みに相変わらず可愛くないことを言ってしまう自分が嫌だった。
いつの間にか、涙溢れてきて視界が歪んでいく。
「え、おい、どうした、シェリア!?」
「な、なんでもないわよ!!目にゴミが入っただけ…」
「ちょ、ちょっと見せてみろよ」
ぐいと無理矢理、自分の方に向かせられて視界にはまたアスベルが映る。一気に熱くなった頬はきっと真っ赤になってると思う。
「別になんも入ってないぞ」
「な、ならいいわよ!!」
恥ずかしくてたまらない。熱くなった顔を隠すようにまたそらした。
「あ、シェリア…これ…」
アスベルが背中から出してきたのは、可愛らしいピンクのリボンで束ねられた色とりどりの花束――
「これは……アスベルが?」
「ま、まぁな」
「かわいい…」
アスベルから花束を受け取り、思わず頬が緩んだ。
こんな気のきいたことを今までしなかったアスベルが今日はなんでしたのかとか、こんな可愛らしい花束を一体どうしたのか、もうどうでもよくなってしまっていた。ただ、大好きな幼馴染みがこんな可愛い花束を自分にくれたことが嬉しくてたまらない。
「ありがとう、アスベル!!」
自分に出来る精一杯の笑顔で心からの感謝の言葉を伝える。
ふと、アスベルの頬が紅くなった気がしたけどぷいと顔を反らされてしまった。
「今度いくときは、一緒にいこう…な」
「うん、約束よ!!」
今度はちゃんとアスベルと目を合わせることができた。太陽のような明るい笑顔が眩しくて、嬉しくて…それだけで自分は元気になれる気がした。
―――ありがとう、アスベル…
今はまだ伝えられないけど大好きよ――
end...
七夕文じゃないけど完成したからあっぷ!!
やっと書けたよアスシェリ☆
今いちばん好きなCPかも^p^
本編の二人が夫婦すぎてたまらん!!
110707
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