こねた
授業終了まで、あと…[綱京]
綱京
耳に聞こえてくるのは退屈な授業の話。憲法とか法律とか…。
そんなの自分にはどうでもいいことだ。
ちらりと時計をみれば、授業終了まであと三十分はある。
あぁ、まだこの退屈な話を聞いていなければいけないのか…。
窓から入ってくる風が優しくて心地好い…。眠ってしまいそうなのを我慢し、自分の斜め前に席の彼女をみる。
彼女も眠いのか、ふわぁ〜っといい可愛らしい欠伸をしていた。
そして、俺の視線に気付いたのか此方を振り向きにっこりと笑顔を見せてくれた。あぁ、可愛い。本当に可愛い。
自分の頬が熱くなっていく。
俺は恥ずかしくなって俯いてしまった。
その時、隣の席の佐藤が手紙を渡してきた。
「おい、ダメツナ、京子ちゃんから」
「えっ、京子ちゃんが俺に!?」
小さく丁寧に折ってある紙を受け取り、開いて見る。
「なあ、なあ、なんて書いてあるんだ?」
「な、なんでもないよ!」
中を覗き込んでこようとする佐藤から手紙を見えない様にし、読んでみる。
―こらっ、ちゃんと授業受けなきゃ駄目だよっ!! 京子
俺はにっこりと微笑んで、シャーペンを持ち返事を書いた。
―京子ちゃんこそ、さっきあくびしてたでしょ。可愛かったよ♪ 綱吉
そして、隣に座り頬杖をついていた佐藤に京子ちゃんに回してもらう様に頼んだ。京子ちゃんは中を開いて読んだ後、此方を見てにっこりと笑った。
暫くして、また手紙が回ってくる。中を開いて俺は吃驚した。
―ひどいっ、見てたの?
恥ずかしいよぉ〜。
罰として、今日ツナ君の家にお泊まりに行っちゃうから!! 京子
俺は読み終わるのと同時に、京子ちゃんを見た。彼女はほんのりと頬を染め、にっこりと微笑んでいた。ほ、本気……?
―ほ、本当に来るの? 綱吉
そして、手紙を回す。
京子ちゃんに手紙が回り、授業終了のチャイムが鳴った。
先生がここまでと言って教室を出て行った後、俺は立ち上がり京子ちゃんに話し掛けた。
「きょ、京子ちゃん、さっきの…」
京子ちゃんはくすりと笑って悪戯っ子の様にこう言った。
「さぁ〜て、帰ったら、お泊まりの用意しなくちゃ」
その笑顔が可愛くて、俺はまた頬が熱くなった。
―――
政治経済の授業中に、紙に書いて考えていた品。もう、真面目に授業を受けていません。
友達の名前はパッと浮かんだ名前。"佐藤"とか在り来たりだ。その辺にいっぱいいるしね。
080530
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