想い月 執務室 所変わって執務室。 綾がスヤスヤ呑気に眠って居る頃、我等が閻魔大王は目の前に仁王立ちし鋭い瞳で睨みつける部下に冷や汗を流していた 「せ…泉華そんなに睨むな」 「別に睨んでなどおりません。監視しているだけです」 眉間にシワを寄せいつも無表情な顔が密かに怒気を含んでいるのがわかる ことは泉華が執務室に入った頃に遡る。 泉華が予想していた通り早くも執務に飽きていた緋閻は数枚しか書類を処理していないのにも関わらず執務室に茶を運んで来た子鬼をガンガン犯してした。 「ひッ!!お…許しくださッ!ァア!」 まだまだ鬼としては身体も経験も未熟な子鬼はこの城に仕える使用人だ。 初めて執務室へのお茶出しに緊張し初めて間近に見る緋閻の迫力に動揺した子鬼は見事にお茶を零してしまった。 幸い運んでいる途中だったので床に敷き詰めた赤い絨毯に染みが出来た程度なのだが、目敏い緋閻が見逃す筈もなくお仕置きとばかりに自分の欲を晴らす。 「…何をしておられるのですか?」 執務室の扉を開ける音にも気付かない程無心に腰を振っていた緋閻は凍えるような冷たい声に背筋が凍る。 「何を…していらっしゃるのですか緋閻様?」 強い強い冷気を背に感じ急いで身なりを整える 「…早かったな。アレは起きたのか?」 「………」 冷静を装い泉華に視線を合わせた緋閻だったが無言の圧力を感じる 「………ッくそ!わかっている!」 堪えられなくなった緋閻は子鬼を仕事に戻し自分の椅子に腰掛ける 「…子鬼はまだ身体が出来ておりません。私は何度も申した筈ですが?我等が閻魔大王様は大変残念な頭をお持ちの様ですね?大体あなたは仮にもこの地獄を治めるお方なのですよ?そのあなたが誰彼構わずホイホイ犯り散らかしては部下に示しがつきません。ましてや子鬼など!わかっておられるのですか?我等鬼は100歳で成人なのです。見た所あの子鬼は14.15。幼子同然です。あなたの性癖をとやかく言う気はありませんが許し難いことです。あなたが閻魔大王様でなければ絞め殺していた所ですよ?」 「………」 げっそり 「本当に何度も何度も同じ事を言わせないで頂きたい。私だって好き好んであなたにネチネチと言っているわけではないのですよ?大体日頃からあなたは執務をサボり過ぎなのです。死人を回して欲しければ執務を済まして下さいとあれ程言いましたのに。本当にあなたと言う人は!聞いているのですか!」 ネチネチと続く泉華の説教に有らぬ方向を見てげっそりしていた緋閻。 「…まぁそう怒るな。子鬼に手を出したのが羨ましいのは解るがそう気を立てるな」 「そうですよ!私だってあの未熟な身体を弄びたいのを必死に我慢して仕事をしているのを毎日暖かい目で愛でるだけなのに!あぁ…あの小さく思いの他柔らかい肢体は想像するだけで私のビッ「言わせねぇよ!?」…いいところなのですが…」 とんだ変態の言葉を遮り現れたのは閻魔大王の側近にして泉華の友人、赤鬼こと紅牙である。 赤い短髪に赤い瞳は精悍な顔立ちの紅牙に良く合っている。 言うなればワイルド系の美形だ。ほっそりとした泉華とは逆に逞しい身体をした紅牙はまさに男といった風体だ。 「紅牙か…調度良いそこの変質者を黙らせてくれ」 「変質者とは何ですか!私はただ幼い身体を愛でるのが好きなだけで写真とかビデオとかこっそり撮って一人で楽しんでいるだけです」 「「盗撮までしてたのか…」」 ドン引きな二人をよそに泉華は一人妄想を始めた様だ 「…それはそうと緋閻様。また厄介事を持ち込んだとか」 妄想の世界へと旅立った友人を放置し紅牙は緋閻へ視線を向ける [*前][次#] [戻る] |