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甘えて欲しくてA
階段を上がり、アニーの部屋の前に立つ。
どうやら、まだ眠ってはいないらしい。
こんな時間にとはおもったのだが、そっと扉をノックした。
「…はい?誰、ですか?」中から返事をする声が聞こえる。
「俺だ。ヴェイグだ」
ガタッと音がしたと思うと、扉が開いた。
「ヴェイグさん、どうかしましたか?
こんな時間に…」
まだ眠る気はないのか、アニーの声はしっかりとしていて、眠そうな様子は見られない。
「いや、中庭から明かりがついているのが見えたから…」
気になって様子を見に来たのだ。
言われて初めて気づいたのか、アニーは時計を見て驚いている。
「もうこんな時間だったんですね。
本に集中していて気づきませんでした…」
机の上には読みかけの本がある。
ヴェイグが来なかったら、まだ読み続けていたに違いない。
困ったように笑ったアニーは、申し訳なさそうにうつむいた。
ようやく、ヴェイグが心配して来たことに気づいたからだ。
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