第一分室 参 彼方の星A 「あ」 「どうした?クロエ」 クロエの声に、セネルもクロエの見ている方角を見上げた。 そこに輝いているのは、一際目立つ、オレンジかかった黄金の星。 それはまるで・・・ 「ステラさん、みたいだ・・・」 「・・・・・・」 ステラのテルクェス。それを思わせるような輝き。 ステラがいたからこそ、今のセネルがある。 クロエがステラの姿を見たのはほんのわずかだったけれど。 その印象は、こんなにも鮮やかで。 まるでこの星のようだ。 他の誰もステラには敵わない。 きっと、シャーリィでさえも。 隣で同じように星を見上げているセネルをそっと見つめた。 ステラを思わせる黄金の星― それを見ているセネルの表情は穏かで、哀しみの色は見られない。 そのことに安堵しながらクロエも視線を星空に移した。 「隣の星は、シャーリィかな?」 黄金の星の隣で控えめに・・・けれど強い光を放っている青白い星。 黄金の星に寄り添うように輝くその様子は、シャーリィのように見える。 [前へ][次へ] [戻る] |