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第一分室 参
瞳に映るその姿をA
ジェイの家に着くなり、ノーマはその資料の量に呆然とした。
山のように積み重ねられている紙の束。
「ジェージェー・・・。まさか、これ全部とか言わないよね・・・?」
「違いますよ。古刻語の資料はこっちです」

ジェイが指し示したのは机の上。
そこの一角に、まとめられている山がそうらしい。
「・・・それでも、結構多いよ・・・」
思わずため息をついたノーマだったが、気を取り直したのか資料を手に取った。
「じゃ、さっそく解読といきますか!」

机に寄りかかるようにして座ったノーマは、じっと資料に目を通し始めた。
その真剣な表情からは、いつものにぎやかさは全く感じられない。

「・・・ノーマさんは・・・」
何かを言いかけて、ジェイは続きを言うのを止めておいた。
古刻語を読み解いている姿は、いつもと別人ですなんて言ったら、確実に怒られるに違いない。
しかし、そのいつもと違うノーマの姿が、ジェイには気になって仕方がなかった。

ノーマの言うとおり、古刻語ならシャーリィに頼めばいいのだ。
彼女なら、どんなに多忙でも時間を割いてくれるに違いない。
けれど。ジェイが頼んだのはノーマだった。
本当は、ノーマのこの姿が見たいがためにノーマに頼んだのかもしれない。

ジェイは、珍しく手元の資料をまとめることを忘れてノーマの姿に見入っていた。
よほど集中しているのか、ノーマがその視線に気づくことはなかった。



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