第一分室 参 英雄の食卓B 「クラトス、ユアンの作ったシチューなんだけど・・・あなたが食べてくれないかしら?」 マーテルにそう声を掛けられたクラトスは、しばらく躊躇した。 ユアンがマーテルのために作ったということを、よく知っているからだ。 しかし、マーテルはクラトスの躊躇を全く違う意味にとったらしい。 「大丈夫よ、ユアンの料理はとてもおいしいから」 クラトスもそれはよく知っている。 こうしてミトスとユアンがマーテルのために料理を作り、選ばれなかった方がクラトスに出されるのはよくあることなのだ。 穏やかに微笑むマーテルには、誰も勝てない気がする。 「・・・わかった。いただくとしよう」 マーテルのために作った料理を、その愛しのマーテルの手でクラトスに出されて、ユアンはさらにショックを受けているのだがマーテルはやはり気づいていない。 仲良く食事をするマーテル、ミトス姉弟と、自分の作ったシチューを食べているクラトスを見ながら、ユアンはリベンジを誓ったのだった。 終 突然ですが、日ごろお世話になっています千夜さまへ捧げます。 リクエストの内容(?)は、『ミトス、マーテル、クラトス、ユアンである日の昼食。』だったのですが・・・いかがでしょうか? 千夜さま、今後とも何卒よろしくお願いいたします。 そして、マーテルのイメージを壊してしまってすみません・・・(涙) [前へ] [戻る] |