第一分室 弐 煌めく星空の下でA 本当はもうすこし一緒にいたかったけれど。 そう、素直に口に出せればいいのだが、どうしても言えなくて。 ・・・もどかしい。 「また、明日付き合ってやるからさ」 「約束だ」 明日も一緒にいられる。 それは訓練の約束で、とても幸せそうな約束ではないのだけれど。 それでも、クロエにとっては十分幸せなのだ。 クロエはセネルもセネルと一緒の訓練も、どちらも好きなのだから。 「さ、帰るぞ。クロエ」 「う、うん」 差し出された手。 それに自分の手を預けながら、クロエも頷いた。 すっかり暗くなってしまった道を、街を目指して歩く。 名残惜しい気持ちがあるからか、ついゆっくりと歩いてしまう。 そんなクロエに、セネルは歩調を合わせてくれていた。 「・・・あ」 ゆっくりと歩いていたクロエは、空を見上げて足を止めた。 「どうした?クロエ」 「星だ・・・」 [前へ][次へ] [戻る] |