第一分室 弐
甘味の幸福B
「あ、フィリアも甘いもの好きなの?
じゃあさ、ダリルシェイドのケーキ屋さんの白桃のムース、食べたことある?」
ダリルシェイドでも1、2を争う人気店。
そこにある白桃のムース。
白桃をペーストにして加えられている、見た目も綺麗な逸品だ。
「いいえ…。わたし、神殿の外には、あまり出たことがないので…」
それこそ、ダリルシェイドまで歩いて行ける距離に神殿はあるのだが。
「そうなの?なら、今度一緒に行きましょ」
「まぁ、ぜひ」
甘いものが好きな女の子同士、話が盛り上がる。
ふとスタンは、それまでひとり黙っていたリオンに声をかけた。
「リオンは?甘いもの好きか?」
「僕は甘いものなど…」
食べない。と言いかけたのだが、それは今更だった。この面々は、すでにリオンが甘いものを食べている所を見たことがある。
「…あまり、食べないんだ」
「そっか」
少々苦しくなったが、素直なスタンは納得したらしい。
これがルーティだったら、納得はしなかっただろうが。
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