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素敵小説の部屋

さくさくと軽快な音を立てながら、彼女を探す。
見渡す限りの草原をしばらく行くと、遠くに一本の大きな木を見つけた。

(あそこかな…?)

そう思い、木に近付いていく。

木陰からちらりと何かが見えた。

色鮮やかなピンク色。

穏やかな風に揺られ、髪がゆっくりとなびいている。

知らず知らずのうちに、歩調が早くなる。
もっと彼女の近くにいたくて、僕を見てほしくて。

「プレセア!」

気付けば、目の前の少女の名前を思いきり叫んでいた。

彼女が、振り返る。

嬉しいような、それでいて気恥ずかしいような。
さまざまな思いが混じって、彼女の振り返る動きがやけに長く感じられた。

「ジーニアス…?」

きょとんと小首をかしげる仕草が可愛くて、愛しくて。
抱きしめたくなる衝動にかられる。



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