素敵小説の部屋 4 さくさくと軽快な音を立てながら、彼女を探す。 見渡す限りの草原をしばらく行くと、遠くに一本の大きな木を見つけた。 (あそこかな…?) そう思い、木に近付いていく。 木陰からちらりと何かが見えた。 色鮮やかなピンク色。 穏やかな風に揺られ、髪がゆっくりとなびいている。 知らず知らずのうちに、歩調が早くなる。 もっと彼女の近くにいたくて、僕を見てほしくて。 「プレセア!」 気付けば、目の前の少女の名前を思いきり叫んでいた。 彼女が、振り返る。 嬉しいような、それでいて気恥ずかしいような。 さまざまな思いが混じって、彼女の振り返る動きがやけに長く感じられた。 「ジーニアス…?」 きょとんと小首をかしげる仕草が可愛くて、愛しくて。 抱きしめたくなる衝動にかられる。 [前へ][次へ] [戻る] |