素敵小説の部屋
3
「だから…アリエッタの誕生日は、ママと逢った日なの…」
「…そう」
笑顔を浮かべながら彼女は語る。
プレゼントを貰ったり、普段よりも豪華な御馳走を食べたり。
その記念日が、どれだけ楽しいかを。
「…シンクの誕生日は、初めてアリエッタと逢った日にするです」
「は?何勝手に決めて」
「だから」
突然の発言にシンクが言い返すよりも速く。
ぎゅ。
「…っ!?」
アリエッタは小さな両手で。シンクの手を包み込んでいた。
「1年経ったら…お祝い、しよ?」
「…っ、勝手に決めないでくれる?」
手袋越しに感じた温度が心地良くて思わず無意識に頷きそうになっていて、シンクは慌てて首を横に振る。
「…だって…」
「だって、じゃない。人の誕生日を勝手に決めるな」
それでも。
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