素敵小説の部屋
2
自分が作られた日。
ディスト辺りに聞けば、資料として正確に記録を残してあるだろうが…シンクにはそもそも、誕生日を祝うという概念が無い。
「…?解らない、の?」
「別に誕生日なんて、何もめでたくないし」
導師の誕生日を控えているのに、六神将が口に出して良い言葉ではない。
冷静に捉えながらも、その単語はシンクの神経に障った。
好きで生まれたわけじゃない、作られた命。
「何もない、普通の日と変わらない」
「…違うです」
苛立ちを含んだ声を、アリエッタが遮る。
「違う?何が違うのさ」
「誕生日は…記念日だもん」
そう言うアリエッタも自身の生まれた日を知らない。
「ママが、言ってた」
誕生日は、その日が特別なのではなくて。
1年間一緒にいた事を祝う日だ、と。
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