素敵小説の部屋
2
一方……
「はぁ……」
此処は、宿屋から少し離れた一軒家。この家の持ち主、セネル=クーリッジもまた、重たい溜め息を吐いていた。
「…どがあしたんじゃ?セの字……。」
この日、セネルの家に遊びに来ていたモーゼスが、いつもと様子がおかしい彼に、そう声を掛けた。
「モ……モーゼス……。別に、何でもないよ。」
セネルもまた、モーゼスから顔を反らして、そう言った。
「……ふーん……、なーるほどのぅ……。」
モーゼスは、セネルの顔をじろじろ見るなり、薄い笑みを浮かべていた。
「な……何だよ、モーゼス……。」
「……ワレ、クッちゃんの事で、溜め息吐いとったんじゃろ。」
「ク……クロエの事!?何で……だよ!」
モーゼスの言葉にセネルは、言葉を詰まらせた。そして彼の顔は、みるみる内に赤く染まっていった。
「…やっぱりのぅ…。ワレの顔にそう出ちょるぞ!」
「モ……モーゼス!」
顔が赤くなったセネルを、モーゼスは冷やかした。セネルの顔は、ますます赤くなってしまっていた。
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