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第三分室
大地に吹く風 3
そっと、太公望はその身を大地に横たえた。
「暖かいな…」
大地が暖かいのは、彼女がいまだに生き続けていることの証のように思えた。

この大地がある限り、彼女は共にある。
その存在を…感じ続けることができる。

彼女の息吹を感じながら、太公望は語りかけた。
「わしはおぬしを愛していたよ。誰よりも…深く。

そして同時に、憎んでいたよ。誰よりも強く…」

心の奥底にあった、今まで誰にも告げたことのなかった真実の想い。
何もかもが終わった今。
ようやく言の葉にすることができる。

静かに告げると、妲己から答える声が聴こえた。
『わらわも、あなたを愛していたわん』
嬉しさと、寂しさを含んだような声。
『でも。
あなたを憎んだこともあったわん』

少なくとも、妹である王貴人が生け捕りにされたときには心の底から憎いと思った。
けれど。



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