第三分室 夕闇の宴 1 夕暮れの川岸に、太公望はひとりで座っていた。 大きめな石の上に釣糸を垂れて、ぼんやりとしている。 思えば、最近は忙しさに目の回るような日々だった。 毎日忙しく働いたおかげか、ようやく時間が空いた。 だから、こうしていられるのだが。 日も落ち始め、あたりは夕闇に包まれている。 釣糸を垂らすのも止めて、太公望は持ってきた杯を取り出した。 水のせせらぎが聴こえる。 ひとり杯を傾けながら、太公望は溜め息をついた。 のんびりしたい。 と思うのは今が充実している証拠だ。 と、言ったのは誰だっただろうか? 確かに、充実した日々を送っているのかもしれない。充実しすぎているような気もするのだが。 これだけ充実した日々を過ごしたのだ、計画が終了したら、思う存分のんびりさせてもらおう… [前へ][次へ] [戻る] |