第二分室
穏やかな午後にA
久しぶりに来たカーベルニコフの城は、昔と何も変わっていなかった。
顔見知りの使用人に案内され、アニシナの部屋へと向かう。
突然現れたグウェンダルにやや驚きつつも、アニシナは迎え入れてくれた。
「グウェン。あなたがここに来るとは、城で何かあったのですか?」
アニシナの力を借りなくてはならないような事態が発生したのだろうか?
「いや。そういうわけではなくてだな・・・」
血盟城では何も起こっていない。
むしろいつもより平和なくらいだ。
「では、どうしたというのです?」
躊躇したのは一瞬。自分でも不思議なくらい、すんなりと言葉が出てきた。
「・・・お前はどうしているかと思ってな・・・」
意外なグウェンダルの言葉に、アニシナは目を見開いたかと思うとすぐに微かに笑った。
「そうですか。
兄に頼まれた所用も無事済みましたし、しばらく此方で研究に勤しもうと思っていたところですよ」
「そ、そうか」
相変わらずアニシナは研究第一だ。
そんな変わらぬ幼なじみの様子に安心した。
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