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第二分室
穏やかな午後に@
アニシナが所用でカーベルニコフの領地に戻ってから数日。
血盟城では、実に穏やかな毎日が続いていた。

『もにたあ』にされる恐怖もなければ、それから逃れるために城中を走り回らなくても済む。
グウェンダルの執務は、いつになくスムーズに進んでいた。

平穏な日々。
それこそ望むところのはすなのに。
何故か、しっくりとこない。

執務をしていると、扉を開けて訪ねて来そうな気がするのだ。

彼女が・・・アニシナが。

「・・・・・」
ため息をひとつつくと、グウェンダルは執務の手を止めた。
こんな状態では執務に支障が出る。

そんなに気にかかるのなら、様子を見に行けばいいのだ。
幸い、この数日間執務に明け暮れていたためか、今のところ仕事は滞っていない。

馬を飛ばしてカーベルニコフの城まで行く時間くらいはあるだろう。

アニシナに会いに行くのではなく、アニシナの様子を見に行くのだ。

何故かそう自分に言い聞かせながら、グウェンダルはカーベルニコフの城へと赴いたのだった。


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あきゅろす。
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