第二分室
悩みの果てにB
アニシナの後に続いて研究室に足を踏み入れると、辺りには実験器具やら組み立てている途中の発明品などが並べられていた。
それらに触れないように気をつけながら進む。
ヴォルフラムが気づくと、アニシナは薬品棚からビンに入った液体を取り出していた。
「これがわたくしが開発した成長促進の薬です。
さぁ、お飲みなさい」
液体の色は、アニシナの薬にしては珍しく無色透明だった。
いつものように飲むのを躊躇するような怪しげな色はしていない。
「・・・・・・」
ふたを開けると、ヴォルフラムは中身を一気に飲み干した。
効果はすぐに現れた。
「・・・な、何だ・・・?」
異変が起きたのは目線ではなく・・・手の方・・・爪だった。
「・・・おかしいですね。なぜ爪が・・・?」
ヴォルフラムの爪は、かなり長く伸びている。
「成分はこれで合っているはずです。
・・・少し、量が足りなかったようですね」
気を取り直して2ビン目。
今度は少しためらいつつも、ヴォルフラムは1ビン目同様に一気に飲み干す。
今度は頭に・・・髪に異変が起きた。
見事な金の長い髪・・・。腰どころか、足首に到達するくらいまでに伸びて、ようやく成長を止めた。
「・・・今度は髪・・・か」
長い爪に長い髪。
身長とは関係のない所ばかりが成長している。
「・・・ダメ、か・・・・」
どうしようもない。
「もう少し、濃度を上げて・・・」
アニシナの声が聞こえたが、さすがにヴォルフラムは断った。
爪や髪なら、切れば元に戻る。
しかし、これで首やら腕が伸びてしまっては敵わない。
自力で何とかするのが、一番なのだろう。
ヴォルフラムの努力の日々は、まだまだ続くようだ。
終
雪どけ水さまへ相互記念に捧げます。
ヴォルフラムとアニシナ・・・2人だけで書いたのは初めてですが・・・実はとても楽しかったりします(笑)
雪どけ水さま、この度は相互ありがとうございました!
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