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第二分室
悩みの果てにA
「・・・どうして僕はこんなに成長が遅いんだ?」
ユーリたちと別れて、独りきりになったとたんにそんな言葉が口をついて出てきた。

もちろん、ヴォルフラムの成長が人より遅いということはない。
ただ、自分で気づいていないだけで日々成長しているはず・・・

「成長?今、成長と言いましたね?」
「うわっ!?」
誰もいないと思っていたヴォルフラムは、突然聞こえてきた声に、驚いて振り返った。
声の主は、いつもながらに神出鬼没なマッドマジカリスト、アニシナである。

「・・・聞こえていたのか?」
誰にも聞かれていないと思っていただけに、ヴォルフラムとしては少々気恥ずかしい。
しかし、アニシナはそんなヴォルフラムの様子に頓着することなく力説している。

「成長というものには個人差があります。
ですが、わたくしにかかれば個人差など無用のもの。
たとえ成長が止まっている方でも、必ず成長するでしょう!」
「・・・なに?」

必ずという言葉は本当なのだろうか?
ヴォルフラムはまじまじとアニシナを見つめた。
そんなヴォルフラムの様子に気づいているのか、いないのか。
アニシナはさらに言葉を続ける。

「もちろん、副作用などはありません。
ヴォルフラム、興味があるのならわたくしの研究室までおいでなさい」
アニシナの研究室。
誰も近づきたがらないような血盟城随一の危険区域に、その薬はあるらしい。

「・・・わかった」
普段のヴォルフラムだったら、さすがに固辞したことだろう。
しかし、今のヴォルフラムは悩みの方が深かった。
アニシナの『もにたあ』になることを厭わないほどに。

身長の悩みは、ヴォルフラムにとってはそれは深く、切実な悩みだった。


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あきゅろす。
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