第二分室
花の戴冠 1
血盟城の中庭にある、ささやかな花畑。
小さな、控え目に咲き誇る白い花たちの中にグレタはいた。
その手にあるのは、周囲に咲いている花で作られた花冠。
しっかりと丁寧に編まれているそれは、形も整っていてとても綺麗だ。
「…グウェンも行っちゃったし、グレタもユーリの所へ行かなきゃ!」
つい先程まで、ここにはグウェンダルがいたのだ。
グウェンダルはたまたま通りすがっただけなのだが、グレタに誘われてしばしの間、花冠作りに勤しんでいた。
花冠など作ったことのないグウェンダルに作り方を教えながら完成したグレタの花冠。
同じように花冠を完成させたグウェンダルは、赤い髪の幼馴染みに花冠を渡すために一足先に戻ってしまっている。
手にした花冠を、グレタは陽の光にかざして見てみた。
「うん。綺麗にできた!」
上出来だと嬉しそうに笑ったグレタは、この花冠を渡したい人…ユーリの所を目指して駆け出したのだった。
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