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第二分室
雨音@
渇いた大地に恵みの雫が降り注ぐ。
しとしと、しとしとと。
絶えることなく、静かに。
単調なリズムなのに、なぜか安心できる雨の音。
数年ぶりに降った雨は、夜半過ぎになっても止むことなく、大地を潤し続ける。


窓辺に座って降り続く雨を眺めていたビビは、眠っている仲間たちの方を見た。
みんなよく眠っている。
さすがの彼らも、今回は相当疲労したようだった。
戦いの終結を見届けると同時に、倒れてしまうほどに。

みんながよく眠っているのを見ると、ビビは再び窓の外に視線を移した。

こうして降り続く雨を、ここから見るのは何年ぶりだろう?
雨自体は、国を出奔してから何度も見ている。
しかし、この国に雨が降るのを見るのは本当に久しぶりだった。

祖国にいない間に、雨はたくさん見てきた。
霧雨から、大雨までさまざまな雨を。
雨は雨。どこでも変わらない同じ雨。
けれど、この雨は特別な感じがする。
まさに、恵み。


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あきゅろす。
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