◇物語◇ ◆さくらびと...春 紅葉side 襖の間からまだ開いていない桜の木が見える 時折聞こえる鳥の鳴き声や暖かい風が肌にあたると少し嬉しくなる 季節の変わり目を肌身で実感していると 鈴:紅葉元気してた?お見舞い持ってきたよ(ケラッ 一瞬空気が止まる 千佳:買ってきたから安心していいよ 私の寿命がもっと縮む所でした リズム:なんとなんと…ロールケーキ!(ニコッ 和奏:リズム食べたかっただけとちゃう?(クスッ リズム:ち、違うよ!; 紅葉:…クスッ…皆で食べましょう リズム:やったぁ!! 皐月:やっぱ食べたかっただけでしょ(ニコニコニコ リズム:ち、違うってば!; 撫子:私分けてくるね 華月:俺も手伝うよ 華月さんと撫子が部屋を出ていく しばらくして 撫子たちが戻ってきて雑談がスタート 鈴:最近来れなくてごめんね; 敵のファミリーが活発に動き始めて; とは言うものの最後に鈴たちが来たのは 一昨日だ、忙しいはずなのに週4のペースで 必ず来てくれる 紅葉:そんなことないです、来てくれるだけで私は嬉しいです(ニコッ 雄輔:俺は会えなくて寂しかったぜ…早く元気になってお茶でも飲みに行こうぜ(キラッ 紅葉:雄輔さん;あの…; 和奏を見ると赤い顔をしていた 和奏:… そして黙って雄輔を蹴飛ばす 雄輔:いてっ;; 和奏:アンタやっぱ誰でもいいんか!誰でも口説くんか! 雄輔:そんなふくれないで!;俺の本命は和奏ちゃんだけだって!; 和奏:アンタいっつもそうやって…! といつもの口論 相変わらずのケンカップルである リズム:わぁ!//ロールケーキめちゃくちゃ美味しい!!// 皐月:クリームついてる(ニコニコニコ リズム:え、どこ!?;// 皐月:そこ リズム:ここ?; 皐月:違う、もっと右 リズム:え?;こ、ここ?; 皐月:違うってばー…しかたないなぁー リズムについたクリームを舐める リズム:な!;//いきなりなに!?;// 皐月:えー?クリームとってあげたんだからそこはありがとうでしょ?(ニコニコニコ リズム:はぁあ!?;// 人前を気にしない(主に皐月が←)イチャイチャカップル 千佳:いやーあついね 鈴:だね 鈴谷:… 鈴谷は千佳の耳元で 何かを囁いた 千佳:Σ…い、いや;//…は;// 珍しく顔を赤くしテンパってる千佳 紅葉:一体何を言ったのでしょうか; 鈴:…さぁ?; 襖が空き葉雪が入ってくる 葉雪:あれ?鈴居たの? 鈴:うん 葉雪:…それ、いつも付けてるね 鈴:当たり前だよ(ケラッ それというのは鈴の16歳の誕生日に葉雪があげた雪の結晶ネックレス 鈴はそれを凄く大事にし肌身は出さず持っていた 葉雪:そんなに気に入った? 鈴:もちろん(ヘラッ 葉雪:よかった ほのぼのカップル そうしているうちに賑やかになっていきついに 師匠:うるさい ピタッ 凌の一言で部屋が静まる 師匠:毎回、病人の部屋で騒ぐな 皆大人しく退散 鈴:また来るね! リズム:またね(ニコッ 部屋に凌と二人きり 師匠side 紅葉:皆さん相変わらずですね 師匠:あぁ、馬鹿が多くて困る 紅葉:そんなことないです、皆さんがいると楽しいです(ニコッ と言うと風が入ってくる襖の向こうを眺める 紅葉:… 師匠:早く咲と良いな 紅葉:…はい 師匠:…どうかしたか? 哀しそうな表情を見せ 紅葉:…この桜が散る頃私は此処に居られることができるでしょうか 師匠:… 紅葉の病状は思わしくない、とても春を乗り切れられる体ではなかった ______ ____ __ 一週間後 今日は雨、鳥の鳴き声も、春の風も、光も入ってこない 聞こえるの雨音と 自分の寿命への足音 師匠:体調はどうだ? 紅葉:とくに変わったことは無いです 実は一週間前に比べ体が言うことを聞かなくなってきていた 師匠:…そうか 雨の音が沈黙を強調する そんな間は何年もずっと感じていなかった 静かな暗い沈黙 紅葉:…少し1人になりたいです 師匠:…わかった すぐ出ていってしまった いや、1人になりたいとお願いしたのだから しまった というのはおかしいかもしれない 『…この桜が散る頃私は此処に居られることができるでしょうか』 自分自身の言葉に驚いた、 私はこの世に凄く未練がある 皆ともっと一緒にいたい、笑いたい、 そして 凌とずっと一緒にいたい 離れたくない でもその言葉を口にしてしまえば、 私が居なくなってからも凌を縛ることになってしまう 縛りたくない… でも、忘れて欲しくない… この気持ちはどうしたら… 2つの思いが私の中で疼いていた _____ __ _ 雨の止まない暗い空、 シロ:あらあら無愛想君は女の子の気持ちわかってないですネっ 何故ここにいるかわからない人物 師匠:…黙れ白髪 僕が嫌いなこいつは シロ:… 何か言いたげな目でこちらを見る 師匠:何が言いたい シロ:…死ぬってわかってるならもっとするべき事があるんじゃないんですか 師匠:なんだと 胸ぐらを掴んだ、自分でも何故こんなにイラついているのかはわからない シロ:間違ったことは言ってないです 白髪野郎の意見なんか聞きたくないが反抗は出来なかった 自分の中で 紅葉が居なくなるという現実から目を逸らしていたかもしれない シロ:まぁ俺には関係無いですけどネっ★ それだけ言うと 白髪野郎はどっかに消えた 改めて思った 僕はあいつが嫌いだ _____ __ _ 六日後 師匠:紅葉、入るぞ 紅葉:どうぞ 師匠:…今日は日が入るな 紅葉:はい…あたたかくて気持ち良いです 沈黙 心地よい間 師匠:君が好きだ 紅葉:…え? いきなりの言葉についていけない 師匠:…僕は君が愛おしい 不安に感じていたものが溶けていく 紅葉:…… 私は… 師匠:君は? 紅葉:…私は…ずっと…堪えて…っ 今までためていた 涙が溢れてしまった 震えるからだを凌が抱き締めてくれる 師匠:…例え君が居なくなったとしても、愛し続ける 紅葉:…でも…っ そこに花びらが舞い降りてくる 紅葉:… 師匠:咲いたな 紅葉:…はい 師匠:前に、来世があると言ったな 紅葉:…はい 師匠:生まれ変わったら、この桜の下でまた会えばいい、 紅葉:…会えなかったら…? 寂しそうな顔に僕は安心させるように自分の思いを素直に出す 師匠:ずっと待ってる 紅葉:…きっとその時、…もし会えたら…永遠を誓ってもいいですか…? 師匠:今だ 紅葉:え? 師匠:先延ばしにするよりも、今誓ったほうがいいだろ 紅葉:…強引ですね 弱々しく微笑む もうきっとこうして話せる時間はないだろう あたたかい紅葉の体を抱き締める 紅葉:…凌大好きです 今年の桜は遅く花開き 師匠:僕もだ 早く散った 紅葉:…だから…永遠に愛してます だがその桜はどの年よりも美しかった 5時間後 紅葉は皆に見取られ 息をひきとった _______ _____ ___ この時期は桜が満開 町で一番大きな木、 最近では恋愛成就、などごりやくのある木などと人気である 木は代々東雲家が守ってきた、その東雲家の少女は今日も木をお世話をしています 『もっと大きくなって下さいね』 『君は毎日この木としゃべっているな、話相手が居ないのか?』 お世話をしていると なんとなく懐かしい声が後ろから聞こえてくる 『…ち、違います!;これは東雲家が代々ですね…』 いきなり失礼な人だ 『守ってきたものだろ?』 『…そうです。…でも代々守ってきたから、ってだけじゃなくて…この木はずっとないといけない気がするんです』 小さい頃から大好きだった、何かあるとこの木下で花を見ていた 『…僕にはその木が話に答えてくれる事は無いと思うが』 『知ってます!;』 この人は人の話を聞いているのか、 私を馬鹿にしてると思う 『だが、僕なら答える』 『…え?』 『君の話が聞きたい』 『…なんでですか』 『君の声を聞くと 懐かしい感じがする』 偶然ですね 私もです 『私もお話したいです』 『近くに美味しいカフェがあるんだが』 『あ、一度そこに行ってみたかったんです』 『早く着替えてこい、』 『時間が掛かるので先にカフェで待っててください』 『いや、桜の下で待っている』 『じゃあまた此処で会いましょう』 少女が嬉しそうに微笑むと 『あぁ、ずっと待ってる』 彼も優しげに目を細め微笑む ザァァアアァア それに応えるように桜吹雪が舞い、散った こうして2人は また巡り合い2人で2人の時を進んでいく 永遠に end… _____ 〜お借りしたお子様達〜 リズム様...師匠、リズム、シロ みず様...皐月、和奏 茅風様...千佳、 月姫様...紅葉、葉雪 、撫子 今回は月姫様の紅葉と、リズム様の師匠を主役にしてみました。 ぐるCPとなりますので、お借りしたお子様の本編内容とは一切関係ありません。 私的にぐるCPの中では一番落ち着いた大人びたCPだと思います。そんな大人びたCPを私みたいな低脳が書かせていただきました。 お貸ししていただいたぐる面子様ありがとうございました。 [next*] [戻る] |