閑話休題
月の綺麗な夜だ。
満月の夜には、決まってあの日の事を思い出す。
初めこそ痛みを伴っていたものの、今となってはただ未来を、世界を在るべき姿に整えるための、ただの「過程」としてしか思い出されない。
その感情の変化が、狂気の淵から自らを護るための防御機構であることに気付いてはいたが。
「イタチさん、ここに居ましたか」
声に呼ばれ、振り向く。
「結局、やるみたいですよ。リーダーとしても都合が良いようですね。裏切り者を葬れる良い機会ですから」
「そうか」
「私はどちらでも良いのですが、イタチさんはどうします?」
「俺は……」
満月の光が、足元に影を落とす。
何かが大きく動き出す予兆が、穏やかな闇に蠢いていた。
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