拉致と誘拐の違いって何さ。
……………あ、
えっと、どうなったんだっけ……
………あれ、からだ、動か、ない……
「……………」
ぱちり、
瞼を持ち上げた。
見慣れない天井が、目の前にある。
体は鉛のように重く、指を動かすことすら億劫だ。
「……う……っ」
無理矢理動かそうとすると、小さなうめきだけが喉から漏れた。
ここは、どこだろう……?
………なーんて、大体目星はついている。どうせ……
「目が、覚めたかしら?」
……ああ、やっぱり。この変態が。
「体は……まだ痺れてるのね。心配要らないわ。じきに治る」
「……………」
しばらく、沈黙と共に待つ。気まずいなんて思わなかったけど、大蛇丸さんがずっとこっちを見てるのは気になるかな。
あ、少し体が動く様になってきたぞ。起き上がれるかな?
「…………おらっ!!」
気合い一声、がばっと上体を起こす。まだくらくらと揺れる視界に、胸糞悪い顔がある。
「気分はどう?」
「………あー、」
声も出る。よし。
「とりあえず、一言良いデスか」
「どうぞ」
すー……
思いきり息を吸って、
「私の初チュー返せコラァァァ!!!」
憎き大蛇丸は、「あら、初めてだったの」とかほざいている。
ああもうホント、実力さえ足りるならば張り倒してやりたい。
「何のつもりデスか。美少女誘拐デスかコノヤロー」
「ふふ、誰が美少女?」
「やかましいわ」
駄目だ。ついツッコんでしまう。怒ってるのに。一応。
落ち着け。落ち着け私。とブツブツ呟いていると、大蛇丸さんの細い指が、私の髪を緩やかに撫でた。
「名前……アナタを気に入ったのよ。アナタはもう一生、ここから出られないと思いなさい」
「チッふっざけんじゃねーデスよ。さっさとここから出してください」
精一杯睨みつけてやると、大蛇丸は薄く笑って「駄目よ」と呟いた。
「これからの事は、後で私の部下が来ると思うから、何でも聞くと良いわ」
大蛇丸は部屋の扉を開けた。暗い部屋に、細い光が射し込む。
「それから………分かっているとは思うけど、逃げようなんて思わない事ね」
冷たい言葉を残して、大蛇丸は部屋を出ていった。
「………何か、大変な事になっちゃいましたね……」
デイダラ君、心配してくれてるかな。イタチ兄さんとか、小南ちゃんとか、飛段君とか角都さんとか。
……リーダー、鮫さん、サソリさん黒ゼツさん……この辺はむしろ清々してそうだな。
あーくそムカつく。
「意味分かんない意味分かんないー気に入られる意味が分かんないー」
まだ痺れている手足をバタバタと動かして、ベッドの上で暴れる。
「………畜生」
呟いた悪態は、すぐに闇に溶けていった。
(闇の中には、希望も絶望もごた混ぜに存在していて、)
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新連載、始まりました!宜しくお願いします!
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