天使降臨の日
今日、暁のアジトに天使が舞い降りた。
………いや、小南ちゃんじゃなくて。
いや、小南ちゃんも天使だけど。
「………天使デスね…!」
「げ……名前、いたのか」
その日、居間で仕込み刀の手入れをしていたのは、『ヒルコじゃない』サソリさんだった。
赤い髪。白い肌。華奢な体。幼い顔つき……。
ああ、どこを取っても、まさにマイエンジェル……!
「嬉しいですサソリさん!ようやく私のために脱いで下さったのデスね……!」
「妙な言い方はやめろ……!」
何と無く照れたように刀の手入れに戻るサソリさんを、私は温かい視線、いやむしろ火傷しそうに熱い視線で見つめる。
「…………」
「…………」
「……ウゼエ。じろじろ見んな」
「いやん」
「いやんじゃない」
他にする事も特に無いので、サソリさんの手入れ作業を眺める。
サソリさんは手際良く刃に液体(多分毒だ)を塗って、紐や鎖、たまにチャクラ糸などで、仕込んでいく。
「あれ?旦那に名前、何してんだ2人で。うん?」
しばらくして、ひょっこり姿を現したのはデイダラ。
彼も今日は暇らしく、手には作りかけとおぼしき粘土造形が握られていた。
「仲良いな、うん。名前は、旦那の邪魔はしてないのかい?」
「邪魔はしてねぇが、見られ過ぎてやり辛ェ」
「まあそう言わずに。どうせ、すぐまたヒルコに入っちゃうんでしょ?今のうちに目に焼き付けとくんデスよ。サソリさんはマイエンジェルですから!」
ぶっ。
デイダラ君が吹いた。
「へ、へー。旦那はエンジェルなのか……うん」
「エンジェルですよ!見て下さいよこの愛らしい姿!!」
「やめろ俺に触るな」
そんな阿呆な会話をしていると、さらにメンバーが加わった。
「おや、今日は騒がしいですね」
鮫さんだ。今日も相変わらず鮫っている。
「鮫さんがいるって事は、イタチ兄さんもいるんデスか?」
「セット感覚ですか……。イタチさんは、今日は出ていますよ」
何だ。つまらない。
「でもそういや、名前はイタチにもよく絡むよな。イタチはお前のエンジェルじゃないのか?うん?」
「ちょ……何の話をしてるんですか貴方達は」
来たばかりの鮫さんは、話の流れを掴めていないようだ。
「こっちの話です。イタチ兄さんは、それはもう麗しいです。でも、エンジェルって感じじゃないんデスよね。」
「小南は?」
「リアルにエンジェルです」
デイダラ君が首を傾げた所を見ると、雨隠れでの云々は知らないようだ。
余計な事は言うまい。
「じゃあ、飛段は?名前はアイツと仲良いだろ、うん?」
「アレが、仲が良いように見えるんデスか?まあ、飛段君は………黙ってお馬鹿発言をしてりゃ、萌えの対象ですね」
「燃え?」
「…………いえ、何でも無いデス」
住む世界が違うな、とか。
こんな場面で思い知るとは。
「………何と無く掴めました。つまり、名前は誰が好みか、という話ですね?」
「…まあ、そんな感じですかね。鮫さんも守備範囲内デスよ」
「………それはどうも」
私とデイダラ君と鮫さん。
珍しい3人組で話していたら、いつの間にかサソリさんがいなくなっていた。
「あ、あれ!?サソリさんは!?」
「さっき、部屋に戻ってたぞ、うん」
「言って下さいよ!!まだ拝み足りないのに!!」
サソリさーん!とか言いながら部屋に押し掛けたら、「次来たら殺す」とか、やたら物騒な事を言われて摘み出されました。
(もっと顔を見せて!マイスウィートエンジェル!)
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