趣味は甘味処巡り。 今日のおやつは三色団子。冷蔵庫の中に入っていた。 ……別に、無断で食べる訳ではない。団子を見た瞬間、これは絶対イタチ兄さんのだと確信したため、確認と許可を取りに行った。 その時の会話は以下の通り。 「イタチ兄さーん。冷蔵庫にあった団子、あれイタチ兄さんのデスよね?食べて良いですか?」 「…………何故俺のだと分かった?」 「だって、団子と言えばイタチ兄さんでしょ」 「………そうなのか?」 「そうなんデス。イタチ兄さんって団子大臣じゃないですか」 「それは否定する」 「で、食べて良いですか?」 「………2本あったろう。俺も食べる」 ……という訳で、イタチ兄さんと一緒に3時のおやつを食べるのです。 ゆ、夢のようだ……! 「………あれ?」 だが、私が再び冷蔵庫を開けた時点で、事態は一転した。 「………団子、1本しかないデスけど……」 イタチ兄さんと、顔を見合わせる。 「あー、悪ィ。オイラが1本食ったぞ、うん」 ソファで粘土をいじっていたちょんまげが、口を挟んだ。 「…………ナンセンス」 「うん!?ちょ……イタチ!?なんで写輪眼発動して……!!?」 「………イタチ兄さん。団子に埋もれて窒息死する幻術でもかけてやって下さい」 私とイタチ兄さんとの、夢の時間を邪魔しやがって。このクソちょんまげが。引っこ抜いてやろうか。 「冗談じゃねーよ!うん!」 幻術をかけられてはかなわないと、デイダラ君はサソリさんの部屋に逃げ込む。 流石にサソリさんの部屋まで追い掛ける訳にはいかず、私とイタチ兄さんは2人、冷蔵庫の前に取り残された。 「………イ、イタチ兄さん!半分こしましょう!半分こ!」 怒ってるのか落ち込んでるのかよく分からないイタチ兄さんを慰めるために、努めて明るい声で提案する。 「三色団子をどう半分にするつもりだ」 「私が赤と白。イタチ兄さんが緑と串です」 「本当にお前はどこまでもふてぶてしいな」 結局私が赤、イタチ兄さんが白、余りの緑は丁度通りかかった鮫さんに与える事になった。 「いただきまーす!」 ぱく、もぐもぐ、ごくん。 …………ひとくち。 まあ、それはそうだ。団子一個だし。 「…………ご馳走様でした」 「……………」 「……………」 「…………やはり、デイダラに幻術をかけてくる」 「……とめません」 団子が絡むと、イタチ兄さんは妙に怖い。 静かに席を立つイタチ兄さんを、私と鮫さんはデイダラ君の無事を祈りつつ見送った。 (教訓・三色団子は3つ揃ってこその美味しさ) [*前へ][次へ#] |