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「ぶぐハッ」
777は思い切りぶっ飛んだ。
そしてそのまま――――リジェンデと間合いをとったスピードスターへ突っ込んで行く!
「っ!? 先ぱ――――」
どごッ!
「どわァ!!」
「うがっッ」
大・激突。
もんどりうってまとめて倒れた。
「…!?」
突然の出来事にリジェンデは驚き、目の前の戦闘機らと追撃せんと駆けるバスターを見比べ……すぐに状況を判断、自分も攻撃に加わるべく地を蹴った。
「うぐッ……せ、先輩!来ますッ」
よろめき起き上がりながらスピードスターが構える。防御力があまりないのに超硬度超重量の777と思い切りぶつかった為、装甲がかなり傷ついた上に内部にも異常があった。内心で舌打ち。それから見遣る777は――――
「――――……おぉ」
拳を大きく構えていた。
“下”に、狙いを定めて。
「らああああぁ゙ァあアアアア゙アアぁああアアアァ゙ア゙アアア!!!」
ド ッゴーーーーーーーン!!
アスファルト、打ち下ろす鉄拳!
粉砕する。
崩壊する。
壊れる。
毀れる。
粉々のハイウェイ。
海上のハイウェイ。
海へ、落ちて行く。
瓦礫……
人……
機械……
『KEEP OUT』のテープ……
ボッ シャーーーーン!!
「………ぶはぁっ!!」
海面、顔を出したのは魔女・リジェンデ。畜生と舌打ち。あの戦闘機、ハイウェイをぶん殴ってぶっ壊すなんて……滅茶苦茶だ!
そうだ、双子は――――
未だ細かい瓦礫屑がポロポロ落ちてくる海面、リジェンデは急いで辺りを見渡した。
(居た!)
ラッキーだ。二人揃って仲良く近くに浮かんでるじゃないか。未だ気を失っているが……寧ろ好都合。暴れられたら面倒臭い。
リジェンデは水を掻き、双子をその手に引き寄せた。よし、後は箒を魔法で呼び寄せて………
ぎゅむっ。
「………ん?」
背中。
のっしりと、重量感。
しがみつかれた。
バスターに。
それもかなりのハイパワーで。
「ちょッ……お、おまっお前ッ重い重い離せ馬鹿!!」
「…………!!」
ぶぶぶんっ、と必死の形相で首を振るバスター。まさか、とリジェンデは血の気が引くのを感じた。ゆっくりゆっくり……沈没しながら。
「バスター……え、まさかだと思うが………カナヅチ……?」
「ああああるみかんですすす」
リジェンデの問いに、古代戦士はガクガク震えながら早口で答えた。取り敢えず泳げない事を伝えたかったらしい。
「えっちょ……マジで!?マジでか!!?嘘だろ……うぐ、あとおまっ……締め付けるな゙苦じっ……」
振り払おうともがく。振り払われるものかとしがみつく。ぐえっと悲鳴。
その時だった。
ビキーーン!!
「あ゙」
リジェンデの頭の中が真っ白になった。
嘘。
嘘でしょ。
嘘で御座いましょう。
………足つった……!!
そして、次の瞬間。
四人はあっけなく波に飲み込まれていった…………。
「あっ、沈みましたね奴等。」
ハイウェイの崩れていない所、二つの戦闘機は海面を見下ろしていた。
あの時、スピードスターは咄嗟に777を掴んで落ちて行く瓦礫を足場に安全地帯へ着地したのであった。
全く無茶苦茶する方だと思いながら、スピードスターは777へ振り返った。
それは海面を見下ろしている……が、心ここに在らずな様子で、ただただぼんやり佇んでいた。見ているが、見ていない。聞いているが、聞いていない。
「先輩」
「…」
「777先輩!」
「んぉ?」
強めに呼びかけると、777はやっと顔を上げた。ちょっとすっとぼけた顔をして。
「あ、あいつら沈んだな」
それから再び下へと視線を戻してそれは言う。それさっき僕が言いましたよとスピードスターは溜息を吐いた。
白い戦闘機はふと辺りを見渡す。それにしてもまぁ、なんとド派手にぶっ壊したことだろう。上に怒られるだろうな。ま、やったのは僕じゃないけどね。
ざーっと風が吹いた。ざーっと波の音が聞こえた。広いハイウェイだ。壊れたハイウェイだ。全く。
横を見る。777はまたボーっとしていた。その真っ黒い装甲に、黒い空と黒い雲が泳いでいる。あ、鳥も居た。
スピードスターは今一度浅く息を吐くと、ぼんやり突っ立っている777の横っ腹を肘で突っついた。するとそれがハッと顔を上げたので、真っ黒なその目と視線が合った。
「………さ、奴等をとっとと逮捕しちゃいましょ」
視線を逸らせたらまたぼんやりしそうな気がして、目を逸らさずにスピードスターは言う。せやな、と777は頷いて、
ボゴッ。
いきなり聞こえたその音に、
その音と共に下がって行くスピードスターに、
おったまげて目を丸くした。
「えっ?」
スピードスターも目をまん丸にしていた。
崩れたのである。物凄くピンポイントで、ボゴッと。
……スピードスターのいた所が。
そして、足場がなくなったという事は――――
当然、海へ落下。
「あああああああぁぁぁーーー…………」
ボチャーン。
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