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俺が莉央を狙っている事も知らずに、頷いたのだ。


これで心置きなく莉央に近づける。

卒業したとは言え、俺以外にも学校内に情報網を未だに多数持つ真央は何かと厄介だからな。

真央の許可無く莉央に近づこうものなら裏切り者と見なされ面倒な妨害が入る事を知っていた。

こんなにも簡単に真央の許可が下るとは思いもしなかったが…取り合えず第一関門は突破出来た。


後は肝心の莉央・・・


何度も言うが、莉央は自分以外の人間を覚えようとはしない。


どうしたら俺を印象付けられるか…どうすれば莉央の心に侵入出来るだろうか…。

今まで万人に求愛されて、可愛がられてきた莉央に…いったい、どうすれば・・・。


どんなに優しく接しても、愛の言葉を言っても聞く耳さえ持ってくれない。




そこで閃いた




始めは嫌われてしまえば良いんじゃね?


莉央の隠している部分を暴露して注意を引きつつ、心の壁を崩しながら莉央に俺という存在を刻み込む。


…でも、どうやって……?

俺は脳内で考えを巡らせる。


莉央が今まで出会った事の無い人間を演じてみるのはどうだろう?


莉央に対して興味を持たず、今まで甘い言葉ばかりを受けてきた莉央に対して暴言を吐き、男として少々乱暴に扱ってみる。

特別扱いをしない。


・・・確信は無いが、他に手は無い。

やってみる価値は有る!


俺は機会を狙って初めて莉央に話しかけた。

ずっと遠くから見ていた、ずっと話しかけたかった莉央に、ようやく話し掛ける事が出来た。


「あまみや・・・・りお・?君だよね?」


あたかも、今まで興味が無かったように装い名前すらも、うろ覚え状態で莉央の名前を呼ぶ。

そして、ずっと心待ちにしていた莉央との会話・・・


試験的に行った暴言だったが、莉央の反応を見て確信した。


あきらかに動揺している莉央は凄く可愛くて、思わず俺は顔を綻んでしまいそうになったが必死に耐えた。

近くで見る莉央は恐ろしい程に美しくて、可憐で、俺は発する暴言とは裏腹に本当は莉央に目を奪われていた。


必死で内心を隠し、莉央に対して興味の無い振りをする…。






翌日教室であった際に、莉央の足を蹴った。


その際にあの莉央が俺の名前を呼んだのだ。

形はどう有れ、莉央に俺と言う存在を意識させることに成功した。







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あきゅろす。
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