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ある時にたまたま気付いた。


莉央は、本音を一つも言っていない、何かを我慢している…、隠している。


確かでは無いけど女神の中に隠れる黒い部分に気付いたのだ。


観察を続けるうちに、それは確信へと変化していく。


莉央が自分を偽っていることに。

人から良く思われようと必死に演技をしている。



誰も知らない、俺だけが知る莉央の秘密…、莉央の本性。

俺は本当の莉央を知れば知るほどに幻滅する所か、以前よりも莉央が欲しくなった。


聖人君子では無い、完璧ではない。
汚い部分もある方が人間らしい。
欠陥がある方が愛しく、可愛らしく思える…莉央が何故自分を偽っているのかまでは理解出来ないが、俺はどうにかして莉央のその壁を崩してやろうと思った。




莉央は誰にどんな告白を受けても断り続けていた。

顔が良かろうが、金持ちだろうが関係ない。

絶対に心が靡かないのだ。

告白してくる男に対して嫌悪感を抱いている…、仲良くなろうともしない。莉央にとって他人は眼中にも無いのだ。むしろ害虫。


誰一人として莉央の心に侵入できない、侵入どころか存在を認識さえしてもらえていない。


俺もただ近付いて思いを告げただけでは同じ結果になる。

どうしたら莉央の気が惹けるだろうか…、どうしたら邪魔者の真央を省けるだろうか…。



そして、時は流れ真央が卒業した後も俺は兄の真央と連絡を取り、学校内における莉央の状況報告をしていた。

それなりに真央から信頼されている俺は、真央から莉央の情報を報告するように頼まれていたのだ。

とは言っても、真央の部下的存在はいまだ多数在学中。

真央も頭の働く面倒な男だから情報網を一つには絞らず、誰かが真央を裏切って莉央の報告に嘘をついても見破れる策を取っている。

それは現在の生徒会の幹部でさえ誰も莉央に近づけない様にしているのだ。

真央が卒業してからハメを外し莉央に告白するものも増えたが、レベルの高い者程、裏では真央と繋がっている為に手が出せない。


まったく恐れ入ったよ・・・。


しかし、俺が莉央を想っている事を真央に感じさせない様に努力しているからというのも有るが、真央も目の届かない所に莉央がいる不安でいっぱいだった。

だから俺は何気なく真央に提案した。


「真央先輩の代わりに俺が莉央のボディーガードになりますよ!何か有ってからでは遅いですよね?遠くからの観察、報告よりも俺が莉央の近くにいる事によって無謀に莉央を襲う輩の阻止にもなりますよ?」

可愛い莉央を一人で歩かせるよりも、よく分からない不特定多数の野郎を取り巻きにするよりも、自分の息のかかった信用できる人間を一人側近につけた方が安全。

それはずっと側にいた真央自身が一番良く知っているはずだ。

その事を知った上で俺は提案したのだ。


暫く無言だったが、真央は微かに頷いた。



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あきゅろす。
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