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あまりの美しさに、可愛らしさに一瞬にして心を奪われた。


桜の雨が優しく降り注ぐ下にそいつはいた。


その時、生まれて初めて心から美しいと思えるものを見たと言っても過言ではないだろう・・・。

取り巻き達が発する言葉から名前は直ぐにわかった。



“天宮 莉央”



案の定、莉央は入学初日から学校のアイドルとなり、見た目の麗しさだけでなく、立ち振る舞いや性格の可愛らしさから女神と呼ばれる様になり学校中の男達が崇拝する存在となった。

誰もが憧れて、恐れ多くも誰もが欲する存在。

だが、天宮莉央に手出しを出来るものは一人もいなかった。


莉央の兄・・・天宮真央の存在があったからだ。


生徒会長を勤める真央は、事実上この学校の最大権力者的な存在。

天宮家は資産家らしく学校に多額の寄付金を支払っている為、教師ですらも彼に逆らうものは誰一人としていない。


皆、莉央に近付きたくても兄の真央が怖くて手を拱いていた。


だが当時の俺はそんな有名人である天宮真央の存在をしらなかった。

学校で誰が権力者とか、そんなのには一切興味が無かったからだ。

だから、真央が莉央の兄だという事も知らなかった。

俺と同じく世間に興味が無い輩や真央の恐ろしさを知らずに莉央に近付いた者は次々に消されていったらしい。

そんな事も知らず、俺は入学して暫くしてから兄の真央の存在を知った。


どちらにせよ当時の俺は、真央の存在を意識しなくても莉央には近付かなかった。

何故なら、運任せで当たっても砕けるだけと知っていたから、無謀な挑戦はせずに遠くから莉央の事を意識していた。

莉央をもっと知って、莉央にも俺を知ってもらってから行動に出ることにしていた。


莉央の周りには常に大人数の取り巻きがいた。
毎日色んな男どもが鼻の下を伸ばして莉央に近付こうとする。

俺は内心でムシャクシャしながらも、それを遠くから見ていた。

行動するチャンスを伺い、いかにして莉央を落とすか答えが見出せずにいた。









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あきゅろす。
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