Protect
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僕は自分を偽ることをせずに、思いつく言葉を素直に近藤にぶちまけた。
あれだけ近藤を蔑む言葉を言ったのにも関らず、近藤は笑って僕の話を受け流しては、逆に僕が言葉に詰まる返答をする。
僕が無言になると近藤はニヤニヤと人の神経を逆撫でする笑みを浮かべるから僕は躍起になって支離滅裂な反論をして墓穴を掘る。
この言い合い…というか一方的に僕が熱くなって言葉を発しているだけだが、何故か僕は近藤一輝と他愛も無い会話を続けてしまった。
…近藤一輝…やっぱり、あの男はムカつく!!
他人とは一線を置いてきた、この僕が、近藤と話していると感情がむき出しになってしまう…
自分のペースが乱される!
でも…
気付いた。
気付いてしまった…
自分を偽っている時では味わったことの無い感覚。
近藤だけにしか見せない姿…
本当の僕。
歯に衣着せぬ発言が出来る。
思った気持ちを言葉にする…気持ちがいい。
近藤はかなりムカつく男だ!でも…何故だか分らないけど、近藤なら本当の僕を受け入れてくれる気がする。
下らない会話など時間の無駄に過ぎない。
近藤の失礼な発言にいちいち怒ってしまう。
だが、何だか楽しい……そう思えるのも事実だった。
他人との会話で喜びを感じる……こんな気持ちは初めてだ。
僕は見た目のせいで、今まで一度も友達と呼べる存在が出来た事が無かった。
皆は僕を特別扱いする。
笑いあって冗談や憎まれ口を言える相手もいなかった。
思えば本音を人に言うのは何年ぶりだろう。
子供の時以来だ。
あの時以来...。
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