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本当の僕


「莉央、お前のすぐ近くにこんなイイ男がいるんだ。自分だけじゃなくて俺の事も見惚れて良いんだぞ?」



「…はい?」


ちょっと待て!寝言は寝て言え!

いくら聡明な僕でも一瞬理解が出来なかった…いや、理解したくないのだが、多分彼は…近藤は…


…恐る恐る顔を横に向けて至近距離の近藤を見る僕。

近藤は上目使いで僕の瞳を見ると、眉尻を上げ二カッ!と笑うと


「俺の事をもっと見ろ!」

堂々と言い放つ。


一瞬、フラッと眩暈がした。

有り得ないだろう…うん、有り得ない。


何故この僕がKY失言男を見なくてはいけない?
出来るだけこの無礼者は視界に入れたく無いというのが正直な気持ちだ。


「何故?」

うっかり正直な感想が口から零れ落ちた。


「リハビリ」

「リハビリ?」

余計、意味が解らなくなった。


「そ、リハビリ。莉央が自分以外の人間に興味が持てる様に俺が助けてやる!」

・・・近藤は何故僕の事を見抜ける?
僕は周囲の人間に愛想を振りまいている。
性格を偽って演技をしている…僕の演技は完璧で見事に全員騙される。

それなのに何故、僕が自分以外の他人に興味を持てない事が解るのだ?


「近藤君ってさ・・・読心術とか習得してる?」

「はぁ?何ソレ、漫画の読みすぎじゃね?リオってオタク?きもぉ〜い」

鼻で笑われた・・・凄くイライラする!


「今、イライラしてるだろ?・・・良くも悪くも、今まで莉央の心を乱す人って俺以外にいなかっただろ?」

「・・・ッ!?」

僕は驚いて近藤の顔を見た。
近藤はニヤニヤと笑って俺の瞳の奥を見ている

「俺が、俺だけが本当のお前を理解してやる人間になってやるよ。いい加減素直になりなよ・・・性格ブスちゃん」

「んなっ!!!?」

「俺は上辺だけの莉央では無く、本当のお前と深い仲になるって決めた!これ俺ルールね」

「決めた?俺ルール??」

「そ。楽しそうだろ?本当の莉央を引きずり出してやる、そして俺は本当のお前と仲良くなるって決めた」

僕は息を呑んだ

「本当の僕と・・・仲良くなる・・?」

近藤はムカつく野郎だ。
僕の嫌な事を平気で言ってくる酷い奴だ・・・・しかし、僕の本当に望んでいた言葉を言ってくれた初めての人間・・・



本当の僕を・・・



僕は目を閉じて軽く深呼吸をして、ゆっくりと瞼を開けた。



賭けてみるか


コイツに。


僕は不適に笑った

「ふっ!面白い、良いだろう!近藤、貴様の前だけでは本当の僕を見せてやるよ!」

「お?今までの可愛い莉央ちゃんじゃないな、莉央“様”ってか?出たな本性〜」

近藤も不適に笑った。






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あきゅろす。
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