☆★STAR★☆
持出厳禁
ってか、ちょ…ちょっと待て、落ち着け!
何この状況?
超意味不明なんですけど!!
マジで止めろ〜
これ以上俺にエロいイタズラするべからずッ!
ってか誰でも良いから助けてくれッ!
辺りを見回したが皆、ドッジボールの白熱した試合に夢中だし、遠くから見れば、いつもの様にバカ男子同士の何て事無いイタズラや、じゃれ合っている様にしか見えないのだろう。
すぐそこには沢山の人がいるのに誰も俺達には気に止めない。
…慶斗は!?
目線で救世主の姿を探してみたのだが…。
慶斗は…、恐らくあの人壁の中にいるのか、ちょうど俺と慶斗の間には死角が有ってお互いの姿が確認出来ない。
慶斗は人気者であるがゆえに取り巻きも多く、周りの歓声も凄まじかった。
同じ体育館の中にいても俺達はまるで蚊帳の外にいるみたいに、誰もが背を向けて皆は試合に興奮していた。
何て事だ…。
俺が絶望感に打ちのめされていると、足技を続ける阿部が俺を見下ろしながら口を開いた。
「俺、男なのに何で男の歩夢を見てドキドキしてるんだろう。ヤバイ、どうしよう俺!マジで焦る!!」
いやいや、そんな事を言われても俺の方が嫌な意味で超焦るから!
超ー意味わかんねーよマジで、超嫌だ!!
「俺も小野沢と一緒で男でも歩夢なら有りかもって思えてきた。ってか、何で今まで歩夢の可愛さに気付かなかったのだろう…」
阿部の奴、何を言ってるの?頭おかしいの??
誰か救急車を1台呼んでくれ…、いや、3台の間違いでした。
ってか、病院の方が来てくれって感じだ。
俺を羽交い絞めにしている小峰が顔を近付けて真上から俺を見下ろしてきた。
「前から思ってたけど真輝って…何か……」
何だよ?
俺はキッ!と睨む様な好戦的な目で小峰をみたのだが…
「上目遣いするなよ。なぁ、真輝…誘ってるんだろ?」
は!?
マジで何言ってるの?
上目遣い??
いやいや、今のは睨んだんです!
阿部以上に頭が可哀想になっている人がいます。
俺が小峰の摩訶不思議な発言に困惑してると、股間の刺激が急に止った。
あぁ、良かった。
やっと悪ふざけも終了か…、全く三人とも冗談が過ぎるゼッ★
次は小野沢が阿部の必殺奥義をくらう番か…、頑張れよ小野沢。
コレ、結構キツいぞ!
マジで焦ったがイタズラが終り俺は安心していた。
所が急に小峰に抱き上げられた。
「はへッ!?」
小峰の腕の中で間抜けな声を出した俺はスーパークエスチョンフェイスで3バカ友人達を見た。
すると阿部がシューズを履き直すなり…
「近場では体育館倉庫とバスケ部室があるけど、どこが良いと思う?」
小野沢に聞いていた。
「中から鍵もかけられるから部室が良くね?」
「よし!じゃあ移動するか」
へ……移動?
why!?
「今の時間帯なら部室には誰も来ないし絶対に邪魔が入らないな」
小野沢が言うと阿部と小峰が邪悪な笑みを浮かべた。
ちょっと待てよぉ〜ッ!
何だか雲行きが怪し過ぎではないでしょうか!?
何故、そんな人気の無い場所へ移動するのでしょうか?
ってか…
「小峰、降ろしてくれ」
「真輝、ゴメン!本当にゴメン!先に謝っておく、超ゴメン!」
「いやいや、何の謝罪だかわかんねぇし、悪いと思ってるなら降ろせよバカ」
「……」
小峰は無言でズンズン歩き出す。
「おいコラ!小峰、シカトして歩き出すな!!」
俺を抱えた小峰と小野沢、阿部の御一行はコッソリと体育館の出口に向って歩いて行く。
「このッ!!離せーッ!降ろせ〜ッ!!」
身体をバタつかせて大声を出してみたが、運が最強に悪く試合で誰かが凄い事をしたのか男達の歓声に俺の声が書き消された。
先生ーーッ!授業を抜け出そうとしてる生徒がいます!呼び止めて〜ッ!!と心の中で悲願してみたがスポーツに関して熱血なティーチャーは後ろを振り向く気配すらなかった。
最後の悪足掻きと言いましょうか、俺を持ち出そうとしている小峰を恨めしそうに見上げた。
「俺をどうするつもりだ?」
「とりあえず歩夢をテイクアウト」
テイクアウトって何ッ!!?
持ち出して俺を食う気かッ!?
誰かおたすけーーーー!!
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