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Not ED

それでも俺は諦めずに加藤の身体を力いっぱい押していた。


「ムー君可愛いよ、むー君!無駄な抵抗も可愛い」

「無駄って言うな!抵抗されてる自覚があるなら離せよバカ!…って!うわッ!!顔を近付けるな!セクハラ止めろ〜ッ!」


皆の前でキスをするつもりか!?
そんでもって発情した犬みたいに股間を擦付けるな!

無駄な抵抗だと言われたが俺は非力ながらも全力で加藤の胸元を押し続けていると…


「「調子に乗り過ぎ」」


イライラとして、怒っている様な低い声がするなり、俺の身体を拘束する加藤の腕が急に解かれた!?


それぞれ右腕を杉田君が、左腕を慶斗が掴んでおり俺の身体から加藤の拘束を解いたのだった。


…しかし、急に腕の拘束が無くなった為に、力いっぱい加藤の胸元を押していた俺は反動で後ろに勢い良く弾き飛んでしまった。


「うぁアッ!」


背中から強く地面に叩き付けられるダメージが来る事を予想して俺は強く瞼を閉じたのだが…


‐ぽふッ!


「ふぇ!?」

背後から何かに包まれた。

ゆっくりと目を空けて首だけで背後を確認すると、浜田君が俺を抱き込んでいた。

「歩夢先輩、大丈夫ですか?」

「うん、有り難う」

浜田君は一瞬だけ俺の身体をギュッと強く抱き締めたが、すぐに腕を開いた。

俺は浜田君の腕の中から離れるとアホ加藤にチョップをくらわせた。

「ばかとう!」

「痛いよ〜、ムー君♪」

俺がチョップした頭を押さえながら痛いと言う割に何だか楽しそうに笑う加藤に対して、左右にいる杉田君と慶斗は不服そうだったんだ。


そして浜田君も…若干、冷めた目で加藤を見ている様な気がします。


こんな重苦しい空気の中にも関わらず、他人が気にならないのか加藤はニコニコ笑顔で目前の俺を見て話しかけて来る。

「そう言えばムー君、もうテストは終ったの?」

唐突だな…。

「まぁ、一応終ったけど…。俺的に簿記がヤバくて泣きたくなったよ」

「えっ?勃起がヤバくて泣きそう!?大変だ!ムー君ッ、その歳でインポになっちゃったの!?」


「………はッ?!」


「安心して!俺がムー君の可愛いおチンチンに刺激を与えてフル勃起させてあげるよ!」

加藤は利き腕を伸ばして、あろう事か俺の股間を触ろうとしやがったので、危険と恐怖を感じた俺は咄嗟に慶斗の背後に隠れる様に避難した。


…ってかバカ!
マジでバカッ!!


勃起と簿記を勘違いするなよ!

テストの話しをしてる中で急に勃起の話しをする訳が無い!


俺は慶斗の背後からヒョッコリと顔を出して加藤を見た。


「…加藤。勃起では無く、簿記だ」

このまま俺がインポだと勘違いされ続けるのは勘弁して欲しいので、一応は訂正をしておく。


呆れているのか、慶斗も杉田君も哀れんだ目で加藤を見ていた。

そして浜田君は加藤のお馬鹿発言に頭を抱えていた。

尊敬してる兄貴分がアレとは…浜田君も大変だろうな…、同情するぜ。


舎弟にまで哀れな視線を送られている加藤だが、またしても周りを見ずに……ってか、奴には俺しか見えて無いんじゃないかってくらい視線を俺に向けてる変態加藤は一瞬だけ視線を携帯に向けた後、また俺を見た。


「ねぇ、ムー君」


「な…なに?」


「テストが終ったなら午前中で授業終りでしょう?一緒に帰ろ?そんで放課後デートしよう♪」

綺麗に微笑む加藤は俺に向けて手を差し延べる。

しかし俺は困った表情でその手を見た。

すると慶斗がニヤニヤしながら俺の変わりに口を開いた。



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あきゅろす。
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