☆★STAR★☆
P・E
「残念ながら今年は台風などの影響で休校が有った為に今日は日数調整で午後も授業が有るんだ。」
そこまで言うと慶斗は背後にいた俺の肩を抱き寄せて腕の中へ包み込むと勝ち誇った様に意地悪な笑顔で目前の加藤を見た。
「波工に侵入までしたのはご苦労だが、さっさと帰れよ。歩夢は俺と一緒に下校する」
「この腹黒野郎…」
普段は誰にでも優しくて爽やかな慶斗だが、加藤に対する今の発言では口調と表情が…何だか冷たく感じた。
加藤はチッ!と舌打ちをしたが帰ろうとはせずに、その場に座った。
「授業が終わるまでココで昼寝でもしながらムー君を待つ」
カシャン!と音をたててフェンスに背中を預けた加藤は一方的な発言をした。
有言実行とでも言うのか、本気で俺の授業が終るまで待つつもりだろう。
帰らない加藤に対して慶斗と、杉田君まで舌打ちをして邪魔者を見る様な目付きで眉間に皺を寄せて黒高生にガンを飛ばしていた。
ピリピリした嫌な空気の中、昼休み終了の予鈴が鳴り響いたので俺は加藤と浜田君に残りの授業が終ったら、また屋上に行く事を伝えて慶斗と共に教室へと向った。
ちなみに杉田君は一服してから降りるとの事だった。
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俺達が教室に戻るのが遅かったのか、次の科目が体育だったので教室には既に誰もいなかった。
急いで体育着の入ったスポーツバックを持って慶斗と共に体育館更衣室に移動をして、バックのファスナーを開けた瞬間…
「ッ!?」
俺はファスナーを無言で閉じた。
…何だ今のは?
もう一度、バックをゆっくりと開けて中を確認すると、使用済みと思われるコンドームが入っていた。
しかも口を結んでいない為に、ザーメンと思われる白濁液がゴムから漏れだして下に有る俺の体育着を汚していた。
・・・・何コレ、超最悪。
いったい誰がこんな嫌がらせを……。
一瞬だけ加藤や杉田君、ちょっと失礼だけど浜田君を疑ってしまったが、すぐに違う事を確信した。
何故なら朝からテストで俺はずっと教室にいたし、昼休みは慶斗と共に屋上に上がり、杉田君と加藤達は後から来たとはいえ、昼休みが始まったばかりの早い時間は教室に沢山生徒もいるし、もし教室に行けば目立つ彼らなら注目の的になることは確実だ。
どちらにせよ俺の鞄にイタズラする余地は生徒が体育館移動で教室の人口密度が減る昼休み終了頃かと思われる。
キングは、あの貴族の様な独特な雰囲気を醸し出す御兄様と下校したし、そもそも俺の友達がこんな回りくどい事をするとは思えない。
謎は深まる一方だ。
「おい、歩夢。早く着替えちまえよ」
着替えを済ませた慶斗が、いつまで経っても着替えようとしない俺を不思議そうな顔で見ていた。
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