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ダークネス・ゲーム

「……あれ?」
「どうしたの、お姉ちゃん?」

 唐突に姉の素っ頓狂な声に智里は反応した。

「うん、何かこれ「始め」とか「終わり」とか、異様に多くない?」
「……そう言われたら…。」
「あ、もしかして。」

 何かを唐突に思い出した友梨は近くにあった真っ白な紙にあの文章をひらがなで書き始めた。

「…友梨お姉ちゃん?」
「……。」

 美波の呼びかけを無視した友梨は全ての文を写し終え、そして、別のペンを取り出した。

「……智里、お姉ちゃん?分かったの?」
「……あー、そういう事ね。」

 しばらくしてから、智里も理解したのか、軽く頷いた。

「……え?ど、どういう意味なの?」
「まあ、見てれば分かるわ。」

 智里はそう言うと、黙って姉の手を見続けた。

「……。」

 まだ釈然としないのか、美波は微かに顔を顰めたが、すぐに、智里に言われたように友梨をじっと見詰めた。

「あかつきの 始め 「あ」
 つきの 終わり 「き」
 きみの 最期 「み」
 ちょうの まま 「ちょう」
「あきみちょう」。」
「きょうじゅする 最後「じゅ」
 うちゅうの 先に 「う」
 いのちを 崩し ……これは。」

 姉の言葉を引き継いだ、智里だったが、一つの所で止まった。

「お姉ちゃん、どういう意味だと思う?」
「…多分だけど、「い」「の」「ち」を崩して…「い」「ち」「の」だと思うよ。」
「それで、なみだの 始めが で「な」……ああ、それが二つね。」
「多分それで、「じゅういちのなな」になると思う。」
「ここまで来れば、美波も分かるんじゃない、やってみる最後のくだりを。」
「うん。」

 笑顔を見せる美波はそっとペンを握り、最後のくだりをやり始めた。

「そらの 前 「そ」
 うみの 先 「う」
 こはんの 初め 「こ」
 ……「そうこ」!?」
「全部の文をつなげたら「秋実町11−7倉庫」ね。」
「あれ、でも、最後の夜19時には?」
「それは、多分そのままね。」
「そうじゃないと、意味が通じないしね。」

 美波の疑問に二人の姉はあっさりと答えた。

「これで、ようやく、うまくいきそうね。」
「うん。」
「まあ、どんな目に遭うかは、予想できないけど、そう簡単にはうまく行きそうもないけど。」

 智里の現実を帯びた言葉に友梨はげんなりとするが、それが事実なので、結局は何も口にする気にはなかった。
 そして、三人は19時まで、思い、思いの準備を始めたのだった。

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あきゅろす。
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