▼fall down
…おかしい。
何かがおかしい。
どうして銀の皿があんな見覚えのない紙袋にしまわれていた？
さっきは何の疑いもなく取り出したが、
あの食器は去年の暮れに棚の奥へしまっていた筈……いや、違う？
そうだ、乃梨たちと洋酒を楽しんだ夜にあの皿に苺とチーズを盛り合わせた。
赤がよく映えるだろうと思って久しぶりに選んだんだ。
だがあの夜は確かあの部屋に置いてきた…間違いない。
僕は持ち帰ってきていない。
だとすれば誰かに預けていたのか？
誰に……？
乃梨？それとも憂里か？
思い出せない。
僕は何か大切なことを忘れている気がするんだが…
なんてな。フフ。白昼夢でも見ていたのかもしれない。
紙袋は奇妙だがさして心配する問題ではなさそうだ。
今夜はさっさと眠ってしまおう。
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