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▼冩真家にはならない
外国人受けの良さそうな日本伝統の街へ足を運んだ。
その街にある雑貨店で教授好みの品を買うのが目的だ。
世話になった礼として何かを贈るんだと。


石畳、朱色の鳥居、錦鯉の泳ぐため池、松の香ばしい匂い。
それがあの地に足を踏み入れて最初の印象だ。

列車を一歩降りれば、両脇を土産店に挟まれた参拝道がまっすぐに伸びている。
大柄の外国人がカメラ片手にはしゃいでいて
シャッターを切るのを引き受けた。

…のが悪かった。

どこから湧いてきたのか一斉に群れに囲まれ、俺も私もの合唱だ。
すまないが約束があるから別の人間に頼んでくれ!、と叫んでも
頭の上でみっしりと絡み合うカメラを持った無数の手によって
檻の外に逃げ出すことすら阻まれる。

結局その場にいた全員ぶんの写真を撮り終えるまで
解放されることはなかった。

終いには僕を雇われのカメラマンだと勘違いした日本人までもが寄ってきたくらいだ。
まったく、こんな黒尽くめのカメラマンがどこに居る…!


待ち合わせをしていた学友ふたりは既に店の中に居て
何とか群れを逃げ出してきた僕が声をかけると
「あ、もう何にするか決めちゃったよ」とあっさり言いのけた。

全身の力が抜けるとはああしたことを指すんだろうな…いや、あれだけ遅刻したのだから当然か。

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あきゅろす。
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