03 改札を通り、ホームで一人寂しく電車を待つ。 いつも隣に居る樹紀は居なくて、他愛もない会話すら出来ない事が凄く切なく思えた。 「……何を今更」 幼馴染みに戻ってもう二年。いい加減樹紀を忘れないといけない。 「オレも彼女作ろっかなぁ…」 ポツリと呟いた口から洩れる白い息。冬はもう直ぐそこだと教えていた。 オレの日溜まりは…いつ、訪れるのだろうか。 ………………………… その後、五分後に電車が来たけどスルーしてしまった。 一限目が終わってから学校に着いたオレは、担任の萩原(はぎわら)に呼び出され職員室に来ている。 「お前、今月の遅刻何回目だ?」 「えーと、二回?」 ペチンッ!! 何て良い音が鳴るオレの頭。空っぽなのかはたまた詰まりに詰まっているのか。一度は見てみたいオレの脳味噌様。 あぁ、でもオレの脳味噌は樹紀でいっぱいだったかな。 思わず苦笑してしまう。自分が呆れるわ。 「笑うなボケ。何が二回?だ…十回目だぞこのヤロー」 「相変わらず口悪いよぉ」 「……で、理由はなんだ?」 「あ、オレの言葉はスルー?認めてるって事?」 「お前、オレをナメてんのか?」 「滅相もございませんよ、アナタを舐めるなんて自殺行為に過ぎません」 態と萩原を煽る。 こうでもしない限り永遠と説教食らうからだ。 こんな遣り取りどうでも良いから早く教室に行かしてくれ。 「ったく………お前は本当に……犯すぞこのヤロー」 「今、教育上に良くない発言が!!一生徒としてアナタを軽蔑しますよ、ハハハッ…」 ←→ [戻る] |