17 「怒ってねぇし。そろそろ飯食いに行こ」 「バレバレ」 「うっさい」 先程落としたアキカンを拾い、丁寧にゴミ箱に捨てた悠はオレを置いて先に歩き出した。 「待てよ」 先に行く悠を小走りで追い掛け、寂しそうに揺れている悠の手を握った。 何でオレはキスしてしまったんだろう。 何で手を握ってしまったんだろう。 恋人なんかにならなければ、 悠の存在の大きさに気付く事はなかったのに。 気付きたくなんかなかった。 悠と居たら幸せと感じてしまった自分に、 悠と居たらドキドキしてしまった自分に、 悠とキスした時に興奮していた自分に、 気付く事何てなかった。 いや、その前から気付いてた。 認めたくないだけ。 確実に、オレは悠を好きになってる。 友達、幼馴染みとかじゃなく、一人の人として、 確実に惹かれていた。 ご飯も食べ終え、オレは悠を家まで送った。って言っても、悠の家は真向かいなんだけど。 「じゃあ日曜日に」 「明日は?」 「ほぼ毎日一緒なんだから別に明日くらい会わなくても平気だろ」 「ケチー!」 「二回目」 「うっさい」 時間が戻るなら、 本心を伝えたい。 君がまた許してくれるなら、 隣に並んで歩きたい。 オレの我が儘で 自分勝手で 沢山君を傷付けた。 オレが付けた傷を、 オレに治させはくれないだろうか? また、言われるかな 『何も解ってない』 って そうだよな。 付き合い初めて、気持ちに気付いた筈なのに その気持ちを無かった事にして また忘れて 同じ事の繰り返し。 ごめんな? 本当にごめん。 でも、 好きなんだよ…悠 ←→ [戻る] |