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「……嫌い」

「……え!?」

「嫌いになるつもりだったけどやめた」

「…何ソレ?」

「陽がオレの事そんなに嫌いなら、オレも陽を嫌いになろうと思った」

「じゃあ……」

「オレも陽が好きだよ。大切な弟だ」

「………弟」

「そっ!たった一人の、この世に一人だけのオレの大切な弟!!」

「………」

「何か…不満か?」

「…いや」

「じゃ、買い物行こう!」



久々に、陽と話した。
久々に、陽と仲良くできた。
陽が、ふざけてじゃなく、ちゃんと兄ちゃんって言ってくれた。

兄ちゃんのご飯は美味しいといっぱいおかわりしてくれて、兄ちゃんと一緒に寝ると駄々こねて、弟は本当に可愛いと思った。

でも、シングルベッドに男二人は狭い。


「なぁ、兄ちゃん」

「何?」

「中原樹紀はいつから好きだった?」

「…幼稚園の頃からかな」

「そんなに幼い時から?」

「あぁ」

「どこが好きなの?」

「何でそんな事聞くんだよ?」

「……別に」

「何だよ言えよ」

「言えない……言える訳ないじゃんか…」


今日の陽は色んな顔見せてくれるな。

何でそんな悲しそうな顔するんだよ。訳解んねぇよ。


「お休み…悠」

「………ごめんな、そんな顔させて」

「………ッ…ぅ…くっ…」


また、泣かせてしまったな。

オレより大きい陽の身体を自分に引き寄せ、抱き締めてやる。

暫くして、陽の口から規則正しい寝息が聞こえてきた。


「お休み、陽」





陽が生まれた時から側に居たのに、オレは陽を知らなすぎた。陽がオレを避けるから、知ろうともしなかったんだと思う。



もっと、もっと陽の側に居てあげたら陽は傷付かずに済んだのだろうか?

もっと、陽と触れ合っていたなら、陽はこんな事しなかったのだろうか?



全部、兄ちゃんが悪いんだよな。



ごめんな。




陽を傷付けてたなんて、兄ちゃん気付けなかった。




だから、オレは




陽を責めたりなんかしない。




しないから…



また、




お兄ちゃんって、



言ってよ






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