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09


日曜日、行く気やる気ゼロなオレは寝坊した。

いつもの事だけど。

入学と同時に親からプレゼントされた携帯電話に、樹紀からの着信が三件入っていた。


寝惚け眼で時計を見ると既に待ち合わせの時間は過ぎていて、オレは慌ててリビングに下りた。


「母さん!?」


返事はない。


テーブルの上には小さなメモ帳が置かれてあり、見てみるとオレと陽(よう)宛てに書かれたモノだった。


(悠と陽へ。母さんと父さんはちょっとデートしてきますッ♪
お金置いてるから晩御飯適当に食べてねッ☆)


………は?


昨日言えよっ!!


だからか、だからこんな時間まで寝てしまったのか。

低血圧なオレは目覚が悪い。起きても布団から中々出ない為、そのまま二度寝してしまうのだ。


「陽ーーーー!!」


こっちも返事はない。


ですよねぇ、居ないですよねぇ…

オレの事兄とすら思ってないんですから。つか寧ろ興味ないですからね。眼中にございませんから。

ムカつく。




取り敢えず樹紀に電話しよ。


プルルルプルルル…


(お掛けになった電話番号は電波の……)


……ピッ。


「電源が入っていない為かかりません……じゃねぇよ!!」


って、寝坊したオレが悪いんだよな。三回も電話くれてたんだし。

まぁ、履歴見て折り返し電話あんだろ。




でも、いくら待っても樹紀からの電話はなかった。



携帯を片手にテーブルに突っ伏していたら何時の間にか寝ていたみたいで、瞼に透けて入ってきた薄い明かりで目が覚めた。


時刻は午後六時。


携帯を開き、画面を見るも樹紀からの履歴やメールは一切無かった。


「…はぁ」

「ただいま?」

「何その疑問符は」

「アンタ電気も付けずに何してんの?」

「さぁな」

「アホらし」

「うっさい」


このクソ生意気なガキはオレの弟の陽。
現在小学生六年生にして身長170センチ。

容姿端麗頭脳明晰でオマケに高飛車で腹黒。親の前では良い子ぶってる超ムカつく弟だ。


でも、稀に


本当に稀に


親が家に居ない時だけ


陽は可笑しな行動を取る。


今置かれている現状みたいに…






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