05
食堂から出たオレ達は、昼休みが終わるまで色々と話した。
今身長はどれくらいあるかとか、体重はどれくらいあるかとか。
樹紀は身長が168センチあると聞いて驚いた。オレよりは高いとは思っていたけど、まさか12センチも差があったなんてかなりのショックだ。成長盛りでそんなに身長があるなら大人になる頃にはどれくらい伸びているんだろう。
身長の低いオレには考えたくもない。
「ねぇ!!聞いてくれた?」
教室に戻るなり、待ってましたとばかりに永沢が話し掛けてきた。
「聞いた」
「なんて?」
「良いってさ」
「有難う!!じゃあ日曜日にA駅近くのカラオケボックス前で、1時に待ち合わせね!!」
「解った」
それだけ言うと永沢は自分の席に着いた。って言っても、永沢の隣の席はオレな訳で、オレも永沢に続いて席に座る。
次の授業の準備を済ませ、オレは樹紀とのデートを想像していた。
中学生のデートって何するんだろう?
大人とは違ってあまり金のないオレ等は一緒に映画とか買い物とか簡単にはできない。
ゲーセンとか嫌だなぁ…いつもと変わんないし。
気付いたらオレは寝ていたみたいで、六限目の終了チャイムで目が覚めた。
やべぇ…ノート全く写してない。後で樹紀にお願いしよ。
担任の先生が教室に入り、簡単な終わりの挨拶を済ませると沢山居た生徒達が一気に居なくなった。
まだ脳が寝ているオレは皆から少し遅れ、筆箱しか入っていない鞄を持ち教室を出る。
「あー、樹紀お疲れ」
オレの教室の前には廊下の壁に寄りかっている樹紀の姿があった。
「寝てただろ」
「わかる?」
「目が虚ろ」
「マジ?なら話が早い。ノート写さして」
「クラス違うからダメだろ」
「担当一緒だから平気だって」
「ならデートお預けだな」
「はぁ!?何でそうなるんだよ」
「オレ真面目な奴が好きだから」
「人の事言えるかよ。耳に穴空けてる奴には言われたくない」
「ソレとコレは別モンだろ」
「……本当にデート無し?」
楽しみにしていたんだ。樹紀からデート誘ってくれたから。
樹紀から誘うなんて事これからあるか解らないし、付き合って初めてのデートだし。
「嘘。デートしような」
そう言って、樹紀はクシャクシャと優しくオレの頭を撫でてくれた。
今のオレは、きっと茹でダコだろう。
いや、ソレ以上かもしれない。
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