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孤独は嫌い
口にしてよ。
不安だとか悲しいとか嬉しいとかそういうの。
共感しよう?ひとりよりふたり。そう望んだ。
あなたに刃を振り下ろすということ
この刃物を突き刺すその瞬間振り上げた手が動かなかったことも、正直あなたを傷つけたくないと思ってしまったことも認めるわ。
それは私にとってありえない、してはならないミスであり、あなたにとっては絶好のチャンスになった。
そうでしょう?
なのにどうしてあなたは反撃を仕掛けない。
力の抜けた手はそれでもナイフを落とすことはなかった。
銀色に鈍く光るそれはあなたの左肩に突き刺さった。
けして浅くはない、傷。
もう元になど戻れはしない。
(私は自分の手で帰る場所を失った)
多分彼は帰る場所を用意して待っていてくれている
なきたくなんてなかったの、よ。
私はそんなに感情にはしるような軽い愚かな女ではない。あのひととは金の関係だけだった。利益がないのならばあのひとは私にとってなんの意味も価値もないのだと信じていた。祈るように思ってた。
だからあのひとが私を庇って傷ついたとしても、あまつさえ命の危機だとしても。
私には、無く理由など、ないはずだったの、に。
「泣かないことが弱さだなんて、僕は思わない」
一番感情的になることを馬鹿にするだろうと、予測していた男から振り下ろされた優しい刃は。私の歪んだ鎧を容赦なく打ち砕いた。
どうしてあなたはこんなときだけ優しく正論を告げるのだろう
立ち上がれ
自分の気持ちを誤魔化すな。まだ足は動くだろう。歩け。這いずってでも進め。その残った腕で剣を握れ。まだ瞳が光を掴むというのならあとは、
戦う、だけ。
どんなに醜いと嘲笑われようとも自分の気持ちに正直に生きた者が勝利を掴むんだ
どんな未来が襲い来ようとも、両手広げて受け止めてやろうじゃないか
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